睡眠不足で犠牲になる4つの能力:米研究

起業というのは、それはそれは疲れることです。実際、ほとんどの起業家にとって、徹夜なんて日常茶飯事。やらなければならないことのリストはどんどん増え、至急の仕事がいつもある状態で、きちんと横になって寝るのが禁じられているかのようです。夜を徹して働くのは、良い考えのように思えるかもしれません。しかし、「あと数時間仕事をすれば、確実に少しは仕事が進むはず」と思っていたら大間違いです。
ただ、「これが終わるまで」と少しでも長く起きて得られる生産性よりも、睡眠不足よるマイナスの影響の方がはるかに大きいのです。
幸せ
ハーバード大学医学大学院の調査によると、「睡眠時間が短すぎると、疲れすぎて好きなことができなくなる」ということが判明しています。好きなことに没頭する時間があれば、会社で徹夜の仕事をした埋め合わせをして、自分を取り戻せます。しかし、好きなことをするエネルギーがなければ、友だちと一緒に過ごしていてもウトウトしてしまいます。起業家がよく言う「よく働き、よく遊べ(Work hard, Play Hard)」というのは、人間には限界があるということをまったく考えていない言葉です。
良かれと思ってやっていても、そんなに簡単にすべてを手に入れることはできません。また、当たり前だと思えるかもしれませんが、何にも邪魔されない質の高い睡眠は、仕事とプライペート両方のあらゆる部分を伸ばしてくれます。
記憶
頭は自分をだますことがあります。カリフォルニア大学アーバイン校とミシガン州立大学の最近の調査によると、特定の条件下では、睡眠不足によって虚偽記憶を発症するリスクが増えることが判明しました。
睡眠不足の状態が長期間続くと認知能力がかなり落ちるのは、よく知られていることです。「Neuropsychiatric Disease and Treatment(神経精神病学の病気と治療)」に載っていた記事には、「何よりもまず、睡眠時間の合計が不足すると、注意力や作業記憶が損なわれるだけでなく、長期記憶のような他の機能にも影響が出る」とありました。
逆に言えば、何かを覚えたい時は昼寝をした方がいいということです。夜に不足した睡眠時間を補うことはできないと思うかもしれませんが、起業家にとって睡眠不足のコストというのは、思った以上に高くつくものです。
気分
他人にきついことを言う自分に気付いたことはありますか? 自分の頭をクリアにする時間を犠牲にすると、後で謝らなければならなくなるだけです。起業家にとって、自分の気分は会社の盛衰をも左右しかねない問題です。睡眠不足の時は感情が高まっています。
2006年のハーバード大学医学大学院の研究の前半に、睡眠不足は、短気、イライラ、集中力の欠如、不機嫌などを引き起こすと書いてあります。睡眠不足でエネルギーが足りない状態では、判断ミスや衝動的な判断をしてしまう可能性があります。しかし、自分の状態が良いか悪いかに関わらず、自分の行動には責任を持たなければならない、という事実は変わりません。
生産性
睡眠不足の時は、とにかく休みたいと思うでしょう。ですから、コーヒーを飲んだり、大きな音で音楽を聞いたりするのはやめましょう。起きている時間と自分自身を消費するだけです。身体機能が衰え始めるだけでなく、精神的にも参ってきます。
機嫌が悪い時は、パフォーマンス全体に大きな違いが出ます。しっかりと集中できる時と、やる気も元気もない状態では、成果も大きく違います。
十分な睡眠を取っているかどうかによって、自分や自分のビジネスに出る影響が大きいのは、驚くことかもしれません。トーマス・マンや、ベートーベン、ベンジャミン・フランクリンなど、偉大なる先人たちは、おそらくあなたよりもしっかりと眠っていたはずです。
How Sleeping Too Little Is Ruining Your Cognitive and Emotional Performance|Inc.
Young Entrepreneur Council(訳:的野裕子)
Photo by ShutterStock

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