えっ、睡眠以外にも休養はあるの?
それこそが、Ideas.TEDで「The 7 types of rest that every person needs(誰にでも必要な7タイプの休養)」という記事タイトルを目にした時、私が思ったことでした。
休養=休み+養うこと
普段から睡眠は意識して十分とるようにしていますが、記事を書いたダルトン=スミス医師によると、睡眠だけが休養ではないそうです。
まず、休養とは何かをおさらいしましょう。厚生労働省による「休養」の定義は次のようになります。
「休養」は疲労やストレスと関連があり、2つの側面がある。1つは「休む」こと、つまり仕事や活動によって生じた心身の疲労を回復し、元の活力ある状態にもどすという側面であり、2つ目は「養う」こと、つまり明日に向かっての鋭気を養い、身体的、精神的、社会的な健康能力を高めるという側面である。
厚生労働省「休養・こころの健康」より引用
休養の「休む」の部分ばかり考えていましたが、そういえば「養う」要素もあるんですね。
では、ダルトン=スミス医師が述べる7つの休養には、どんなものがあるのでしょうか。
1. 身体的な休養
この筆頭は、言うまでもなく睡眠です。
ダルトン=スミス医師は、身体的な休養には、受動的なものと能動的なものがあると言います。受動的な休養は、睡眠や昼寝。ヨガやストレッチ、マッサージが能動的なものとして挙げられています。
なるほど、ヨガを休養だと思ったことはありませんでしたが、疲労の回復や心身のリフレッシュするのに役立つなら、一種の休養になるんですね。
人によっては、散歩や瞑想もこのカテゴリーに入るかもしれません。
2. メンタル面の休養
ダルトン=スミス医師の提案には、仕事中に定期的に休むことが挙げられています。
決まった時間間隔ではありませんが、わたしも仕事が行き詰った時にはデスクから離れて、少し読書をしたり間食したりして気持ちをリセットします。
休養というよりは気晴らしだと思っていましたが、自分のメンタル面のプラスになっているならOKでしょう。
また、同医師は、心配事などで夜眠れない時には、枕元にメモ帳を置いて心配事を書き出してから寝ることもすすめています。
不安を書き出す行為が、それを心から外に出すことにつながるのでしょうか。夜に限らず、雑念や不安が堂々巡りする時には効果がありそうです。
この記事を読んで、自分のコロナ以降の生活においてメンタル面の休養になっていることが2つあるのに気づきました。
1つ目は、我が家の習慣となった、ほぼ毎晩のテレビシリーズ鑑賞です。
現在鑑賞中なのは「スタートレック」シリーズで、時空を超えた別世界へ。日常の悩みや心配事を忘れさせてくれます。シリーズ全般でエピソード数が多く、かなり先まで楽しめるのもポイントが高いです。
もう1つは、パンデミックで変わった寝る前の読書習慣です。
これまでは自己啓発やスキルアップなどの本が多く、アメリカ在住なので大部分が英語本でした。しかし、パンデミックの際、ふと手に取った児童書に再度(何十年をも経て)ハマったのです。
それは、小学校の時に愛読した、岩波書店の井伏鱒二訳『ドリトル先生』シリーズ(子ども用にと持っていました)。情報入手やスキルアップなどの目的のない読書は久しぶり。
1日の最後なので、脳のCPUが酷使される内容や英語の本ではなく、児童書で日本語、しかも自分が大好きだったシリーズ。
読書そのものがとても楽しく、心のリフレッシュになっているので、自分にとってはこれも一種の休養なのでした。
3. 感覚面の休養
仕事の会議やイベント、友だちとのチャットもアプリに頼っている現状では、デバイス使用による疲労感はなかなか解消できません。
デジタルデトックスまではいかなくても、デバイスの使用時間を減らす、Zoomの後はかならず休憩を入れるなど、何らかのルールを決めて実行する重要性は高まっています。
ダルトン=スミス医師は、ときどき1分間目を閉じる、1日の最後にデバイスをオフにするなどを提案しています。
休養とは言えないかもしれませんが、デバイスの通知をオフにして、自分のペースでメールやアプリをチェックするのも感覚面での刺激を少なくすることには役立つでしょう。
ちなみに、前述の読書は、寝る前なのでデバイスではなく紙で読んでいます。関連するビデオ: 睡眠と心臓病リスクの関係とは? (unbranded – Lifestyle)
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unbranded – Lifestyle
睡眠と心臓病リスクの関係とは?ミュート解除
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視覚以外にも、聴覚も刺激を受けています。音を遮断、または軽減する場所やツールを取り入れることも役立ちそうです。
4. 感情面の休養
最近は暗いニュースが蔓延しているので、つい「ドゥーム・スクローリング」にはまっているのに気づくことはありませんか。
ドゥーム・スクローリングとは、気が滅入るニュースを続けざまにサーフしたり、スクロールしたりしてしまう傾向です。それに気づいたらデバイスを手放す勇気が、感情面の休養につながります。
ドゥーム・スクローリングに対抗する手段としては、「ジョイ・スクローリング」があります。
こちらは、その名のとおり、楽しく、気持ちがアップするものを見る行為です(ただしデバイスの使いすぎは感覚面での刺激になってしまうので、バランスが必要です)。
5. 社会的な休養
また、ダルトン=スミス医師は、なんでも抱え込んでしまいがちな人には、対人関係から距離を置くこの休養が重要だと述べています。
そのような人には、感情面での休養が必要です。つまり、自分の感情を安心して表現でき、他人の言いなりになることを減らす時間と空間を持つことです。
感情面の休養のためには勇気と自分らしさを持たなければなりません。
この休養が取れている人は、元気かと尋ねられても単に「元気」と返すのではなく、自分の感じていることをシェアできるでしょう。もし、この休養が必要なら、おそらく社会的な休養が足りていないのです。
人間関係には、元気になれるものと疲労させられるものがあります。その区別がつけられない時に休養不足になります。
社会的な休養を取るには、ポジティブで自分を支えてくれる人たちと接するべきです。バーチャルであったとしても、カメラの向こうの人とポジティブなやりとりは可能です。
ideas.tedより引用翻訳
6. 創造面の休養
ジェフ・ベゾスは、朝の10時前には会議などを入れずに、子どもたちとゆっくり過ごしているそうです。
そして、そのような何もしない時間こそがもっとも価値があると述べています。
この記事によると、何もしない時間をつくることで、仕事と私生活の境界線ができ、生活に余白が生まれ、より良い意思決定ができるメリットがあるのだとか。
このような時間は、感情や創造面での休養にもなります。
インプットが多すぎて頭がパンクしそうになった経験はありませんか。そんな時は、インプットを減らすと、その分インスピレーションや創造力が流れこんでくるかもしれません。
ダルトン=スミス医師のおすすめは、自然を楽しんだりアート活動に従事すること。
やらなければならないからやるのではなく、自分にとってリフレッシュと活力の源になるなら、絵画、手芸、日曜大工など、いろいろできることはありそうです。
7. スピリチュアル面の休養
最後は、スピリチュアルな面での休養。
ダルトン=スミス医師は、瞑想や祈りやコミュニティに関与することなどを挙げています。
たとえば、お正月の初詣なども、スピリチュアル面での休養になるかもしれませんね。
寺社、公園、庭園、山や海など、自分にとってエネルギーが得られるスポットに身を置くこともスピリチュアルな休養になります。
在宅勤務で休養を取り入れる方法を考えてみた
コロナ禍を期に在宅勤務へとワークスタイルをシフトした人も多いかと思います。
会社で仕事をしていた時には、仕事とプライベートの場所は物質的に区分されていたものです。ところが、在宅勤務で公私混在する状況では、意識しないと休養するのはかなり難しくなっています。
公私の区別がなくなり、せわしなくなったと感じているのはわたしだけではないはず。
そこで、在宅勤務でも休養を取り入れる方法を考えてみました。
まず、十分な睡眠は必須。身体面だけではなく、メンタルや感情、感覚面での休養でもあります。睡眠だけではなく、本人にとって多くの面で休養が取れるものなら、その休養を優先するのが良いでしょう。
仕事のスケジュールが決まっている人には、その間に休憩になるだけではなく、休養になる時間やアクティビティを組み込むのは手近な方法です。
休養のために仕事場から離れられるなら、仕事と休養のけじめをつける一助にもなります。
休養時間は、30分や1時間などまとまった時間ではなくても良いと思います。ちょこちょこ時間を取って頻繁にリフレッシュできるなら、メリットがあるでしょう。
幼いお子さんがいる人には、週日(&終日)には仕事も家事も育児も同時進行になって、ストレス増が続きます。
時間が取れそうな週末に、子どもの世話を夫(妻)にまかせて自分の休養時間を設けるのは、贅沢でもわがままでもなく、心身面の健康には不可欠なことです。
また、自分の趣味が休養になるなら、もっと趣味の時間を増やしてみてはどうでしょう。
わたしはお裁縫が好きなのですが、パンデミックの当初にパンデミック用バッグやマスクを作って以来やっていないのに気づきました。これは自分にとっては「養う」要素があります。
睡眠のように誰にとっても休養になることもあれば、メンタルや創造面での休養はひとりひとりにとって異なります。
これまで「どんなことが休養になっていたのか」を振り返りつつ、自分そして家族の休養をもっと意識して取り入れていきたいです。
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