ロック歌手の矢沢永吉(72)が19日放送の日本テレビ「ザ!世界仰天ニュースに(火曜後9・00)にVTR出演し、巨額の詐欺事件に巻き込まれた当時の心境を赤裸々に語った。
80年代後半、世界進出を考えていた矢沢は、オーストラリア・ゴールドコーストにビルを建て、世界へ発信できる音楽スタジオや、音楽学校をつくることを決意。そこで、広さ1万平方メートルの土地と、ビル2棟を約35億円で購入した。
また、CM現場で知り合っていた、ハワイのコーディネーターにビル管理の責任を委託。会社の経理部長にも、資金の流れを把握するよう頼んだ。それから約10年後、なんと矢沢の知らぬ間に土地とビルは勝手に競売にかけられ、他人の手に渡ったことが発覚する。その2人が結託し、現地の法律を悪用していたという。
そのときの心境を「ビックリを通り越して、ショックでしたよ。こんなことがあるのかって。髪の毛がどれだけ抜けたか、そして寝てても過呼吸でね。どんよりした雲がずっと覆いかぶさっている感じですよ」と矢沢。そして残されたのは約35億円の借金のみ。酒にひたり、絶望の日々を送っていたが、妻がある言葉をかけてくれたという。「税理士の先生が“本気で矢沢が返すなら、返せない金じゃない”って」。
矢沢は「僕は何度も“本当か?”って聞いてね。嘘でもなんでもいいから、すがりたかったんだよね。あと何年かかるかわからないけど、返そうって」と、決意。また、当時のマスコミから激しいバッシングを受けた日々についても「有名人ってこういう風になっちゃうのかって。俺が倒れるのを待ってんだろうな、と思いますよね。たとえば、破産宣告するのを待ってたりね。でも、個人破産とかでは解決しないなって。絶対に借金にかたをつけよう」と、振り返った。
その後、矢沢は現地警察と提携を取り、責任者2人には有罪判決、それぞれに禁錮刑が科された。そして、04年4月に借金は完済した。「行きつけの店に行って、日本酒の冷やを4杯ぐらいストレートで飲んでね。あれは今でも忘れない、最高の酒だったよ」と笑顔。「うちの嫁さんなんかは“オーストラリアには2度と行かない!って”言うんだけど。ゴールドコースト・サーファーズパラダイスの透き通った海に“また泳ぎに行こうぜ”って。今は言えるようになった」と、語っていた。