4月12日10時0分配信 日刊ゲンダイ
松下電器が今月から取り入れた在宅勤務制度は、対象社員約3万人というから国内最大規模で、週1、2回在宅勤務する人が多いと予想されている。通勤ラッシュから解放される在宅勤務時代が本格到来か。
●“勤務時間”は会社と同じ
対象の3万人は松下電器本体だけでなく、全額出資子会社23社の管理職と一般社員も含まれる。合計約7万6000人のうち、工場の作業員や保安担当者、秘書などを除くホワイトカラーだ。
同社広報担当者はこう言う。
「総務、法務、人事、企画、営業、技術、デザイン、研究の各部門などで働く人はすべて在宅勤務の対象です。上司に申請し、何も問題がなければ受理されます。在宅勤務OKの社員にはパソコンと、職場の上司や同僚などとパソコンを見ながら会議ができるカメラを貸します。週1、2回の人が多いと思いますが、営業などは週3、4回の社員もいるでしょう。総務や人事などの社員は、就業規則通り朝9時から夕方5時30分まで家で仕事することになります」
●仕事のスタート、終了をPCで報告
デスクワークが中心の総務部門の社員なら、朝食後にPCを置いた居間のデスクの前に座り、これから仕事を始めることを会社に送信。その後、事前に上司に報告しておいた“今日やる仕事”に取りかかる。
昼食後もPCの前で同じように仕事をこなす。不明な点があれば上司や同僚などにPCやケータイで問い合わせる。夕方に今日の仕事の進み具合をPCなどで上司に報告し、1日の仕事は終了。
フレックスタイムで働いている社員の在宅勤務は“直行直帰”型となる。
●NECやIBMも導入
松下電器は試験的に昨年4月から研究、企画、デザイン、法務などの専門職1000人に週何回か在宅勤務をしてもらった。1年弱行った結果、仕事の効率やチームワークに支障が出なかったことから、本体と子会社に在宅勤務制度を取り入れたわけだ。
またNECや日本HP、日本IBMなどでも在宅勤務の社員はかなりいる。
●「向く人」「向かない人」
先行きホワイトカラーの在宅勤務は当たり前になりそうだが、「向く人」「向かない人」はいるはずだ。
日本能率協会経営研究所研究員の海老原紀枝氏は言う。
「向くのは『自律型』の人です。自律型はマニュアルや細かい指示がなくても、自分の判断で行動できます。専門性を持っていて、自分の意見・主張をはっきり伝えられ、人を説得できるコミュニケーション能力も高い。在宅勤務では今まで以上に能力を発揮します。逆に向かないのは自分の意見を言えない『付和雷同型』の人です。このタイプは今までも仕事の出来はいまひとつの人が多いのですが、在宅勤務ではよりもがき苦しむことになるでしょう」
在宅勤務で仕事ができる人とできない人の差はさらに広がるのは間違いないだろう。
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