知られざるコンビニ「ヨーグルト戦争」、なぜ「明治」が絶対王者なのか?

コンビニエンスストアで日夜繰り広げられている販売競争の裏側を、食のトレンドやコンビニ事情に詳しいライターの日比谷新太さんが解説する当シリー ズ。コンビニドーナツを取りあげた前回に続き、今回は近年商品数がどんどん増えてきている「機能性ヨーグルト」に注目。いまコンビニでバカ売れしていると いう、ある商品の“人気の理由”に迫っています。

機能性ヨーグルトって?

健康維持のためやお通じを良くするために、毎朝ヨーグルトを食べているという方も多いと思いますが、最近ではそんなヨーグルトが持つ整腸効果にプラスアルファの機能を強化した「機能性ヨーグルト」と呼ばれる商品も、よく見かけるようになりました。

代表的な商品として挙げられるのは、明治プロビオヨーグルトLG21(明治)、明治プロビオヨーグルトR-1(明治)、明治プロビオヨーグルトPA-3(明治)、明治ブルガリアヨーグルトLB81(明治)、森永ビヒタス(森永乳業)、ナチュレ恵(雪印メグミルク)、ダノン ビオ(ダノンジャパン)、カスピ海ヨーグルト(フジッコ)など。

売上のほうも順調に伸びており、例えばLG21やR-1など、機能性ヨーグルト商品を多く扱う明治の、2015年度決算説明資料を見てみると、機能性ヨーグルト(プロバイオヨーグルト)の売上高は、2014年度が1,654億円、2015年度が1,899億円、そして2016年度の売上計画は1,908億円とのこと。まさに右肩上がりで増えていることが分ります。

コンビニでは飲むヨーグルトが主役

さてヨーグルトといえば、「カップタイプの食べるヨーグルト」「ドリンクタイプの飲むヨーグルト」という、2つの形状が存在します。

これらのすみ分けですが、スーパー等では主に「カップタイプ」が販売されているのに対し、コンビニエンスストアでは「ドリンクタイプ」が売り場の主役となっています。なお、大半のコンビニチェーンでは、ヨーグルトを乳酸菌飲料というカテゴリーに分類しています。

ここでは、某大手コンビニエンスストアチェーンにおける、「カップタイプ」ヨーグルトの売れ筋ベスト10を見てみましょう。

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第1位は、そのチェーンが開発したPB商品ですが、ベスト10の中に明治製品が5アイテムもランクインしています。

では、「ドリンクタイプ」のほうは、どうなっているでしょうか?

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同様に、明治製品が4アイテムもランクインするなど、他のNB商品がほとんどランクインできていないほど、寡占化が進んでいました。

このように機能性ヨーグルト市場では、明治が圧倒的な強さを誇ることが確認できました。では、この明治の強さはいつ、どのようにして生まれたのでしょうか。

筆者は、LG21で機能性ヨーグルト市場を開拓し、R-1にて圧倒的なブランド信頼度を確立した、と考えています。

特にR-1ですが、訴えていた機能が「インフルエンザに有効である」ということであり、これが消費者に爆発的に受け入れられました。発売当初は、どのコンビニも発注した数量が納品できない「発注制限」がかかるほどでした。

機能性ヨーグルトに対して、消費者は「何に効果があるのか?」という点に強い関心を抱きます。そこに、他の商品が訴えているような「腸内環境を改善します」というメッセージでは弱いのです。その点、具体的な効能を訴えたR-1は、消費者のニーズをしっかり捉えることに成功したのです。

実際、ドリンクタイプのヨーグルトの月別の売れ筋ランキングを見てみると、1月などインフルエンザが流行しだす時季になると、R-1がより上位にランクインする傾向が見られます。機能性ヨーグルトが持つ効能に、消費者がしっかりと着目している証拠と言えるでしょう。

今後考えられる健康ドリンクの主役

いっぽう数ある健康ドリンクのなかでも、今年の春あたりから人気が急上昇しているのがスムージー。コンビニでも、ローソンの「グリーンスムージー」が大人気となっています。

コンビニ各社としても、おしゃれなイメージがあるスムージーは、女性客を増やすためにも、積極的に販売を行なっていきたいアイテム。またスムージーは、1品あたりの単価が同カテゴリーの他商品よりも高く、販売棚効率が極めて良い商品なんです。

このような動きに対して敏感に反応したのが、野菜飲料のガリバー企業であるカゴメです。近年は野菜飲料の売上不振が続いていましたが、そのような状態を打破すべく発売させた「カゴメ 野菜生活100 Smoothie」シリーズが、計画を上回る好調な売上を見せています。これらの商品たちも、機能性ヨーグルトなどと並んで、今後コンビニの陳列棚を席巻することになりそうです。

 

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

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