石巻・大原浜へみこし寄贈 仙台・一番町四丁目商店街

仙台市青葉区の商店街振興組合は、町内にある金蛇水神社の祭りで使ってきたみこしを、東日本大震災で被災した石巻市大原浜地区に寄贈することを決めた。同地区では15日に夏祭りが開かれ、他地域に避難している住民も久しぶりに顔を合わせる。振興組合は「みんなで担いで地域の心を一つにしてほしい」と、みこしが地域再生のシンボルになることを期待している。
 大原浜地区は牡鹿半島にある。震災では地元の三熊野神社に保管されていたみこしが、大きな揺れで台から落下して破損した。このため昨年夏の「復興祈願祭」では、みこし渡御は見送られた。
 振興組合が寄贈するのは金蛇水神社の祭りで担いできた5基のうち、1972年に購入した中型のみこし。約1.2メートル四方、高さ約1.8メートル、重さ約200キロで、東京・浅草のみこし製造会社が製作した。大原浜地区の従来のみこしの3倍あるという。
 寄贈は振興組合会長の後藤隆道江陽グランドホテル会長が発案。5月末に組合役員に「被災地には心の支えになるものが必要ではないか」と話して賛同を得た。後藤会長が知人を介して窮状を知った大原浜地区で、使ってもらうことにした。
 同地区は津波で壊滅的な被害を受け、人口は震災前の約200人から約80人に激減した。15日の夏祭りの案内状は、石巻市中心部や仙台市内に避難している住民にも郵送した。
 当日は現地で贈呈式が開かれる予定。関係者の間ではみこし寄贈をきっかけに、両地区で交流を図る構想も浮上している。
 大原浜行政区長の石森彦一さん(64)は「大変ありがたく、大切に使いたい。祭り当日はみこしを担いで、地区内の仮設住宅なども回りたい」と話している。

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