石巻市民の震災教訓を次代に 証言集刊行

 ピースボート災害ボランティアセンター(東京)は、東日本大震災の被災者の証言を集めた冊子「石巻市民から学ぶ!! 支援を活(い)かす地域力」を刊行した。震災の避難生活の教訓を、地域の防災・減災の取り組みに活用するのが狙い。避難所運営や支援物資の取り扱いなどの場面で、役立った工夫や失敗事例を収録した。
 支援に入った石巻市で、地域や避難所のリーダーを務めた市民約30人の聞き取り調査を実施。浮かび上がった課題を、情報、避難生活、支援物資、災害ボランティア、地域のテーマごとに整理し、基礎知識、経験談と、備えに生かすための解説を掲載している。
 例えば支援物資の章では、自宅避難者への食料配布作業を担当者固定制から当番制にした結果、負担が減り自分の時間を確保できたとする住民の声を紹介。避難者名簿に登録していない人からの配給要望への対処、配給打ち切りのタイミングなど、判断に迷うケースにも触れている。
 被災地では、災害ボランティアに「何者なのか」「誰がお金を出しているのか」などと、不安や疑問を抱く人がいたという。被災者がボランティアを受け入れる際の注意点や、トラブル防止策を例示。避難者同士の情報共有、他地域との連携など、災害を乗り切るポイントも挙げている。
 センターは冊子を使い、全国で町内会や自主防災組織向けのワークショップを実施する予定。編集長の奥村早苗さん(32)は「震災の経験を被災していない多くの人に伝え、学んでもらうことで災害時の混乱や苦しみを軽減できるはずだ。それは今回の調査に協力した石巻市民の共通の願いでもある」と強調する。
 1冊1080円。連絡先はピースボートセンターいしのまき0225(25)5602。

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