石油ストーブ売れ行き好調 品切れ続出 前年比10倍の店も

本格的な冬の到来を前に、東北で石油ストーブの売れ行きが好調だ。東日本大震災による大規模停電の教訓や消費者の節電意識の高まりから、電気を使わない反射式や対流式の人気が高いという。家電量販店やホームセンターでは、既に品切れ状態の店舗も出ている。
 東北、北海道で家電量販店ケーズデンキ86店舗を展開するデンコードー(宮城県名取市)によると、9月上旬から石油ストーブの売り上げが伸び始め、これまでの販売数は前年同期の2倍に達する。いまは品薄状態で納品のめどが立たず、注文の受け付けを中止している店舗もあるという。
 ケーズデンキ太白店で暖房用品売り場を担当する阿部喜樹さん(32)は「ことしは非常に出足が早かった。すぐ暖房に使うのではなく、いざという時の備えとして買っている人が多い」と話す。
 ヤマダ電機仙台東店の白物スーパーアドバイザー坂内達也さん(41)も「週末には20組前後のお客さんが石油ストーブを見に来るが、メーカーから商品が入ってこない」と漏らす。
 ホームセンターでも石油ストーブ人気は沸騰中だ。カインズホームでは「ファンヒーターは横ばいだが、反射式ストーブは8~10月で前年比5倍の売り上げを記録」(広報部)。ダイシンも「9~10月の石油ストーブの売り上げは前年の10倍」(商品部)だという。
 暖房機器メーカー大手のコロナ(新潟県三条市)によると、石油ストーブが売れているのは東日本大震災の被災地だけでなく、全国共通の現象。被災地と同じく、節電や停電への備えとして買い求める人が多いという。
 同社は「6月から前年比6割増で生産しているが、上半期だけで売り上げは前年の約6倍に達し、各地からの注文に追いつかない」(広報室)と話している。
 石油ストーブは他の暖房器具と違い、燃焼部が露出している。やかんなどを載せられる本体上部も、高温になるので取り扱いには注意が必要だ。
 仙台市消防局は「燃えやすい物を近くに置かず、給油時には必ず消火してほしい。一酸化炭素中毒を防ぐため、換気にも気を配りながら使用してほしい」(予防課)と呼び掛けている。

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