福井県には意外な地場産業がある。
それは、眼鏡。
福井県の眼鏡産業は、何と日本国内の95%。全国の9割という驚きのシェアなのだ。
そもそも福井で眼鏡が作られるようになったのは100年前、1905年(明治38年)まで遡る。
きっかけとなったのは、福井の豪農に生まれた増永五左エ門さん。
彼は今後、日本に教育が浸透することを予想。そうすればきっと眼鏡は社会の必需品となる。彼は大阪や東京の眼鏡職人を村に招いて、眼鏡のフレーム作りを若者に伝習させた。
さらに帳場と呼ばれる職人グループをいくつも作り、帳場の職人ごとに競い合うことで腕の良い職人を育てあげたのだ。
フレーム作りはもちろんのことレンズの製造にも手を伸ばし、それから100年余り。今では福井は全国トップクラスの眼鏡製造都市である。
眼鏡フレーム素材の開発、丁寧な加工技術、何よりも高品質で世界でも評価が高いのだそう。
ところで眼鏡を作るのに、どれだけの手間がかかるかご存じだろうか。
デザイン→金型制作→部品製造→ロー付け(金属接合)→研磨→表面処理(メッキ)→組立と、およそ250もの工程が必要。
大きな会社ではこの工程を一貫生産するが、福井では各工程のみを行う分業体制が確立されているため、県内には眼鏡に関わる事業所&従業員数が多い。
平成20年工業統計調査によると、福井県内の眼鏡関連事業所数は593。さらに眼鏡屋さんの数は2009年で156店、人口当たりの店舗数は全国最大。
県内には眼鏡の展示、手作り体験までできる“めがねミュージアム”も作られている。使われていない眼鏡を供養する、眼鏡供養祭などイベントも多く開催。
さらには、“メガネが似合うミス&ミスターコンテスト”も、インターネット上で実施中。
しかし眼鏡のデザインは奇抜なものからスタンダードな物まで数多い。最先端の福井では、どのような眼鏡が流行しているのだろうか。
伺って見ると、今人気のフレームはプラスチックでできた「セル」、フロントがメタル、つるの部分がプラスチックとなった「コンビ」、そしてレンズの下側に枠が無い「ハーフリム」など。
東京・南青山には、そんな福井の眼鏡を展示販売する「グラスギャラリー291」も開設されている。
もちろん人気のフレームも数多く揃う。
日本のシェアを占め、最先端でもある福井の眼鏡。気になる方は一度覗いてみては。
(のなかなおみ)