福島県須賀川市で11月12日に行われる日本三大火祭りの一つ「松明(たいまつ)あかし」で、富士吉田市で刈り取ったススキが使われることになった。原発事故に伴い、市内のススキから微量の放射性物質が検出された須賀川市の材料提供の呼びかけに富士吉田市側が応じた。週内にも2トントラック1台分のススキを須賀川市に搬入するという。
松明あかしは400年以上続く伝統の火祭り。富士吉田市も毎年8月、大松明を燃やす「吉田の火祭り」を開いており、両市の関係者は昨年10月、歴史と伝統がある全国10地域の火祭りの団体が愛知県幡豆(はず)町で開いた「第1回日本の火祭りサミット」で交流を深めていた。
松明の材料となるカヤ(ススキ)から国の暫定基準値を下回る微量の放射性セシウムが検出され、須賀川市の祭り実行委は開催に万全を期すため、放射性物質が検出されていない材料を使うことを決定。同市観光交流課によると、全国の自治体に4トントラック30台分のススキなどの提供依頼を書面で通知した。
須賀川市の担当者は「富士吉田市をはじめ約20の自治体が協力してくれた。本当にありがたい」と感謝する。ススキの提供費用を負担する財団法人「ふじよしだ観光振興サービス」の渡辺英之事務次長は「同じ火祭りを行う地域として少しでも力になりたかった」と話している。