福島・国見町救急車リース事業問題 ワンテーブル社長が辞任

福島県国見町や宮城県亘理町の官民連携事業を担った備蓄食品製造のワンテーブル(多賀城市)の島田昌幸社長が正式に辞任したことが分かった。同社が受託した高規格救急車12台を所有しリースする国見町の事業で、提携して車両製造を担った救急車ベンチャー「ベルリング」(東京)の飯野塁社長が辞任したことも判明した。

車両製造の提携ベンチャー社長も退任

 辞任は5月31日付。島田氏は3月下旬、官民連携事業の狙いに関し「行政機能を分捕る」などと述べたことを伝えた河北新報の報道を受け、社長職を退く意向を表明していた。ワンテーブルは外部から新たに社長を招き、島田氏は取締役に残る。

 国見町の救急車事業の財源に充てられたのは、ベルリングの親会社グループからの企業版ふるさと納税計4億3200万円。町が委託事業者の公募を始める8カ月前の昨年2月に最初の寄付があり、直後にワンテーブルとベルリングは車両の発注契約を結んでいた。

 飯野氏のベルリング社長辞任は6月5日付。同社の創業者だが取締役も退任する。関係者によると、飯野氏は国見町の救急車事業について「ワンテーブルが勝手にやったこと」などと周囲に話し、今後は親会社の新規事業に関わるという。

 国見町の救急車事業の公募に応じたのはワンテーブル1社のみで、昨年12月に受託した。町は委託先の選定に使う仕様書の作成にワンテーブルを関与させ、既存のベルリング製車両の特徴と酷似した指定を記載したことが、河北新報が入手した資料で判明している。

 町やワンテーブルの一連の対応は発注者の関与を取り締まる官製談合防止法や、不公正な取引を規制する独占禁止法に触れる可能性がある。町は事業を検証する第三者委員会の設置を決め、町議会も地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委)の設置を検討している。

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