東京電力福島第1原発事故で福島県飯舘村に設定された帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)内にある長泥地区の避難指示が1日午前10時、解除された。県内6町村に設けられた復興拠点で、住民帰還を伴う避難解除がこれで完了。復興拠点外で初めてとなる避難解除も実施された。
初の拠点外の避難解除も
避難指示が解除されたのは、村唯一の帰還困難区域の長泥地区約1080万平方メートルのうち、約186万平方メートル。地区につながる5カ所のゲートが一斉に開放された。
復興拠点内に村が整備した長泥コミュニティーセンターで竣工(しゅんこう)式があり、村の関係者と住民ら約50人が出席。杉岡誠村長は「解除を新たなスタートとして、帰還困難区域全域の解除を含め、夢のある古里長泥に向け取り組みたい」と述べた。
復興拠点の避難解除は昨年6月の葛尾村を皮切りに大熊、双葉、浪江、富岡各町で順次進んだ。
拠点外の避難解除対象は曲田(まがた)集落に整備した長泥曲田公園(約6000平方メートル)。居住を前提としない土地活用の場合、解除できる仕組みを初めて適用した。国と村は線量低減に向けた実証を公園で重ねており、復興の発信拠点としたい考え。他にも、堆肥製造施設の立地場所として拠点外の解除を計画する。
長泥地区から福島市に避難している農業鴫原清三さん(68)は、避難解除された地区にある自宅のリフォームを終えた。「待ちに待った解除。古里を失いたくないと自分に言い聞かせてきた。自由に出入りできるようになり、うれしい」と話した。
村の復興拠点には、事故発生時に62世帯248人が居住し、今年4月1日時点で62世帯197人が住民登録するが、昨年9月に始まった準備宿泊の利用者は3世帯7人にとどまる。村は5年後の居住人口約180人を目指している。