生活協同組合連合会のグリーンコープ連合(福岡市)が展開する2016年夏のギフトカタログが、ネット上で物議を呼んでいる。「東日本大震災復興応援」と銘打った企画の中で、福島県だけが「省略」されているためだ。
「東北5県で製造されている商品を利用することで、被災地の復興を応援しましょう」――。カタログの該当ページには、こんな記述が見つかる。 一般的には「東北6県」というのが普通なため、ネット上では、福島第一原発事故を背景に、「風評被害を拡大させる」「被災地差別と言われても仕方ない」な ど厳しい指摘も相次いでいる。
「風評被害を拡大させる」との指摘
グリーンコープ連合は、東日本大震災が発生した2011年から、ギフトカタログ内で「復興応援」企画を展開している。被災地で生産されている商品を販売することで、現地のメーカーや生産者を「応援する」といった内容だ。
だが、16年6月6日に公開された「夏のおくりもの」と題したカタログでは、被災地の商品を紹介するページに「福島県」の名前はない。同ページには、青森・秋田・岩手・山形・宮城の「東北5県」の記載はあるが、地図でも、なぜか福島だけが「省略」されているのだ。
こうした「復興応援企画」の内容に、ネット上では「福島を排除してるっていうのは明らかに嫌がらせ」との批判が殺到した。ツイッターやネット掲示板には、
「被災地差別と言われても仕方ない」
「福島県を東北から削除した悪意が許せない」
「被災地支援を言っておいて福島を外すのは本当にありえない」
といった投稿が相次いで寄せられている。
また、グリーンコープが残留放射能の自主検査を今も続けていることから、福島第一原発事故との「関係」を疑う声も出ている。そうしたユーザーからは、「放射能云々で意図的に外しているとしか思えない」「風評被害を拡大させる」といった厳しい指摘が飛んでいる。
グリーンコープの広報担当者は6月13日のJ-CASTニュースの取材に対し、「復興応援企画は11年冬のギフトカタログから継続して行っていますが、14年冬までは福島を含む『東北6県』を記載していました」と話す。
その後、15年夏のカタログから「福島」を省略するようになったという。その理由については、
「東北6県とPRしていたのですが、弊社では福島の商品を取り扱っていません。そのため、商品ラインナップと企画の内容に『ズレ』が生じていました。ですので、整合性をとるために、福島を記載しないことにしました」
と説明する。その上で、「これまで、福島の生産者やメーカーとはたまたま取引したことがなかった」と詳しい事情を明かした。
原発事故との関係について記者が質問すると、「そういった理由は一切ありません」と強く否定。「今後、福島に取引先ができれば、もちろん商品を取り扱うことになるでしょう」とも話していた。
福島県庁広報課の担当者は取材に対し、「東北5県という表現は見たことがないですし、もちろん福島県は東北地方に属しています」。ただ、今回の件については、「コメントを控えたい」とのことだった。