福島第1原発事故「特定帰還居住区域」 避難解除、住民意向踏まえ段階的に 政府が要件決定

政府の原子力災害対策本部は15日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域に「特定帰還居住区域」を新設するための避難指示解除の要件を決定した。除染の進行やインフラの整備など、生活環境が整った地区からの段階的な解除を可能とした。

 新区域は、住民の帰還希望に沿って自治体が復興再生計画を作成し、国が認定する。住民の意向で区域の範囲が変わる余地があるため、段階的な解除も認める。

 従来の解除要件(1)年間積算線量が20ミリシーベルト以下(2)医療・介護をはじめとする生活関連サービスがおおむね復旧(3)県、自治体、住民との十分な協議-を経て解除時期を決める。自宅に滞在して帰還手続きを進める準備宿泊は必要に応じて行う。

 帰還困難区域内の空間線量が減少傾向にあることを踏まえつつ、個人線量計を用いた被ばく線量の測定、線量マップの作成といった放射線防護対策も実施。地区ごとの空間線量率や地元の意向を鑑み、解除前の帰還困難区域でもバリケードを撤去する。

 政府は2020年代に、希望する住民全員の帰還を目指し、国費で除染する。先行して大熊、双葉両町の一部地域で本年度の除染開始を予定する。

 西村康稔経済産業相は「昨年度の調査で、大熊、双葉、浪江、富岡4町の帰還困難区域で500超の世帯から帰還の意向が示された。住民の気持ちに応え、早期の帰還を実現するため取り組みを加速させる」との談話を出した。

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