秋保電鉄開業100年 東北福祉大で企画展

かつて仙台市太白区の秋保と長町を結んだ秋保電気鉄道株式会社(秋保電鉄)の運行開始から、ことしは100年の節目となる。行楽客らを運んだ民間の小型列車は、1961年の廃線から半世紀余りを経た今も、鉄道愛好家の間で根強い人気を誇る。知る人ぞ知る路線の軌跡を伝えようと、企画展が2015年3月7日まで、青葉区の東北福祉大「鉄道交流ステーション」で開かれている。
 会場には、市内外の収集家らが所有する開業時の車両写真や軌道平面図の複製、秋保電鉄の前身企業の社員が着た法被など約100点を展示。車窓から望めた景色など貴重な映像も放映されている。
 秋保電鉄は、秋保で多く取れた凝灰岩(秋保石)の運搬を目的に、地元有志らが出資して1914年に開業した。当初は馬が貨車を引き、総延長16キロを2時間半かけて走った。
 その後、湯治客の需要の高まりを背景に、25年に電化された。事業者は、仙台市電から旧式の小型車両を譲り受けるなどして独自に改良。戦後になっても屋根のポールで電気を引き込んだり、電車が貨車を引いたりするレトロなスタイルの車両が活躍した。
 20年代には、秋保から二口峠を抜けて仙台-山形間をつなぐ鉄道敷設計画もあったが、面白山を通るルートで仙山線の開業が決まり、計画は幻となった。
 沿線の三神峯に東北大教養部が開設された後、一時的に通学客が増えたが、車両や設備の老朽化で営業継続の危機に陥った。市交通局による買収の動きは、市議会の反対で立ち消えとなり、鉄道は61年に廃業した。
 企画展の開催に協力した仙台市史編さん室の菅野正道室長は「立派ではないが故に地元住民から愛された。廃線後も鉄道雑誌に紹介されるなど、全国的にもユニークで貴重な鉄道が、秋保まで通っていたことを知ってもらえると思う」と話す。
 秋保電鉄の制服や車両のミニチュア模型なども並ぶ。入場無料。午前10時~午後4時。日曜祝日、月曜のほか、年末年始と大学入試時期は休館。連絡先は東北福祉大022(728)6612。

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