東京・秋葉原の目抜き通りに巨大なアダルトゲームの広告が11月1日、張り出されたことから、物議となっている。広告は「おっぱいハーレム」や「孕ませ」などの言葉とともに、肌を大きく露出させた女性キャラが10人描かれていた。
これに対して、女性キャラの露出が大きく、公共の場である道路に面した広告として不適切ではないかという声が多く寄せられ、東京都は11月5日に現地を調査。千代田区でも、区条例に抵触する可能性があるとして、関係部署で連携し、今後は広告を掲示した店舗の会社に指導していくという。広告は11月8日までには取り外されている。●東京都条例では、有害図書と同じく広告も対象に
問題となったアダルトゲームの広告は、JR秋葉原駅近くの目抜き通りに面して、「超エッチな♡アプリでおっぱいハーレムをゲット!!」というコピーとともに、登場する女性キャラクター10人が、強調された胸の肌をほぼあらわにした状態で描かれていた。ゲームやトレーディングカードなどを販売する店舗のビルに掲示され、少なくとも建物2階分以上の大きさにあたる。
これに対し、東京都や千代田区には「あんなに胸の肌が露出している内容の広告を一般の道路沿いに出してよいのか」という問い合わせやクレームが相次いだという。東京都の都民安全推進課によると、11月5日に現地を訪れて調査。店舗の会社から、広告の意図や掲示期間を確認したという。
東京都には、有害図書などの指定について定める「東京都青少年の健全な育成に関する条例」があり、第14条で広告も対象となっている(有害広告物に対する措置)。
都民安全推進課では、今回の調査について、「表現の自由もありますので、直ちに広告を外せとか変えてくれという指導はしていません。条例違反であるかという判断をするとしたら、東京都青少年健全育成審議会にかける必要があります」と話す。
東京都に対して店側は「掲示期間は未定」と回答していたが、11月8日にはすでに取り外されていた。都民安全推進課では、「ネットなどでも問題視されており、世間的にどうなのかということから、今後は会社の方でも注意されていくのでは」と話している。●近隣には小学校や幼稚園も
今回の広告を疑問視する声は、地元・千代田区にも多く寄せられたという。広告が掲示された店舗から約300mの場所には区立小学校や区立幼稚園もあり、千代田区では対応を考えているという。
屋外の広告に関しては東京都屋外広告物条例があるが、形や大きさなどを定めたもので、内容について細かく規定するものではない。
しかし、千代田区では東京都とも連絡を取りながら、同じく現地を確認。区が定めた「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」の第14条に抵触する可能性があるなどとして、店舗の会社へ指導を行う予定だという。
「第14条(健全な環境の確保)
何人も、善良な風俗を害し青少年に悪影響を及ぼす活動を行い、その活動に関し広告物の 掲出、チラシ、パンフレット等の配布等を行ってはならない。
2 何人も、前項の活動に資金や場所を提供し、その他の協力をしてはならない」
千代田区では「秋葉原では歩行者天国などでパトロールを行なっており、今後も引き続き注意していきたい」と話している。●広告は「遊戯王」に…
弁護士ドットコムニュース編集部が11月8日、現地を確認したところ、問題となった広告はすでに取り外され、「遊戯王」の広告に変わっていた。
店舗の会社は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「11月5日に今回の広告看板について東京都からご意見を頂きました。広告主様とも協議の結果、11月8日に取り外しています。今後につきましては広告内容に配慮しながら掲示の判断をしていきたいと存じます」とコメントしている。
また、近隣にある同じ通り沿いの別の店舗には、道路に面して同じアダルトゲームの広告が掲示されていた。こちらではゲームの主題歌とみられる「おっぱい」を連呼する歌が流され、道ゆく人が足をとめていた。
【UP DATE】広告を掲載していた店舗の会社からのコメントを追記しました(2019年11月16時)。