自治体と連携して移住を支援するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」(東京)の2020年の窓口相談者が選んだ都道府県別移住希望地ランキングで、宮城県が5位と、前年の17位から大きく順位を上げた。新型コロナウイルス禍の影響で地方移住に注目が集まる中、首都圏からの近さや就職先が多いことへの期待が、過去最高位に押し上げた。
ランキングは、メールや電話を含む窓口相談者からの回答(複数回答)4400件を集計した。
宮城への移住希望を種類別に見ると、出身地ではない宮城への「Iターン」が61・1%で最多。出身地の宮城に戻る「Uターン」が27・4%、出身地が宮城に近い「Jターン」が5・7%だった。
年代別では20代以下で4位、30代は3位の一方、40代は9位、50代も8位で、若い世代の支持が目立った。
宮城はこれまで10年の7位が最高。東日本大震災後は20位以下のランク外が続き、近年は17年が20位、18年18位、19年17位だった。
人気の背景には大都市仙台の存在がある。センターの高橋公理事長は「首都圏から新幹線で約1時間半と近く、コロナ禍で離職した人を中心に『仙台なら首都圏と同じ仕事ができる』という期待感がある」と分析する。
センターで宮城県への移住を担当する小林美月相談員も「首都圏の人に仙台は暮らしやすいと考えられている」と説明する。
小林相談員によると、以前から移住事業に積極的な登米市や大崎市、栗原市などに加え、震災10年を契機に石巻市や東松島市、山元町などの被災地が移住施策に力を入れ始めたという。小林さんは「いったん仙台に住んでから、県内の他地域に移る『2段階移住』も勧めたい」と話す。
県地域振興課の担当者は「移住希望地として注目されていることはありがたい。実際の移住につながる事業を展開したい」と語った。