約5000人の学生が姿を消す東北学院大泉キャンパス(仙台市泉区)周辺では、各業者が今後の対応を模索し始めている。
アパートから一戸建てへ、新たな需要につなげる
「お客さんの半分を占める学院大生と歩んできた店。来春以降、経営の在り方を考えないといけない」。ラーメンビリー泉学院前店を経営する飲食チェーン「情熱ノチカラ」(仙台市)の青木聡志社長は明かす。
泉キャンパスのグラウンドなどを使う運動部の学生が地域に残る可能性はあるが、大幅な来客減少は避けられない。「地域住民や運動部の学生は変わらずに足を運んでほしい」と願う。
近くのコンビニは1988年のキャンパス開設とほぼ同時期に開店。近年の人手不足は学生アルバイトでしのいだ。オーナーは「従業員の確保は悩ましく経営も不安だが、地域で数少ないコンビニとして頑張る」と前を向く。
ビジネスチャンス到来と捉えるのは、建築や不動産業者だ。ある建築業者は80年代に建てられた学生向けアパートを解体し、ファミリー層対象の一戸建て住宅にした。一部物件は既に入居している。
分譲予定2棟のうち1棟が成約済みというアーネストワン仙台泉営業所(泉区)の担当者は、泉キャンパス周辺について「価格も比較的手頃で、日当たりや眺望も良い」とPRする。
別の不動産業者は「学生が暮らす街のにぎやかさを気にして、住むのをためらった層もいると聞く。閑静な地域への転換は、新たな需要につながるかもしれない」と期待した。