宮城県内の若手漁業者らが一般社団法人「フィッシャーマン・ジャパン」を設立した。生産・加工・販売の共同事業で、次世代に引き継ぐ「稼げる漁師」を目指す。活動第1弾の産地視察ツアーは23日、石巻市と女川町であり、飲食業者などに海産物をアピールした。
メンバーは南三陸町から塩釜市にかけて漁業を営む20、30代が中心の13人。ヤフー(東京)と一般社団法人「東の食の会」(東京)が2012年10月、東日本大震災の復興支援で始めた「三陸フィッシャーマンズ・プロジェクト」でマーケティングなどを学んだ有志らが集まった。
視察ツアーは東京都や仙台市の飲食、流通業者など12社から22人が参加。カキ、ホヤの養殖施設を見学し、メンバーが育てたホタテ、ギンザケなどの料理を試食しながら情報交換した。
飲食店チェーン「養老乃瀧」(東京)の牧山真之商品開発部長は「三陸は海産物の質が高い。生産者と直接取引するメリットは大きく、個人より団体の方が商談を進めやすい」と評価した。
フィッシャーマン・ジャパンは業者や消費者向けツアーの企画、販路の開拓・共有化、PRイベント開催、商品開発などの事業を計画している。
共同代表理事で松島湾で収穫したアカモクを加工・販売する塩釜市の赤間俊介さん(31)は「それぞれが自慢の海産物を持ち寄れば多様な商品がそろい、販売戦略が広がる」と展望を描く。
石巻市北上町でワカメを養殖するもう一人の共同代表理事阿部勝太さん(28)は「漁師が浜を越えて協力し合うことはほとんどなかった。若い力で宮城から日本の水産業を変えたい」と意気込んだ。