空き家を民泊に活用 仙台初、不動産会社が2物件開業 自ら運営しノウハウ蓄積へ

不動産賃貸などのシェルージュ(仙台市宮城野区)が、民泊物件2件を仙台市青葉区にオープンさせた。6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後、同市の法人の申請が受理されたのは初めて。増加する空き家対策として民泊経営に乗り出す賃貸物件のオーナーらの相談に応えるため、自ら運営してノウハウを習得、蓄積する。
物件は「シェルハウス勾当台」と「シェルハウス土樋」。勾当台はリノベーションした4階建てビルの4階部分を活用し、7月にオープンした。個室が全5室でキッチンや風呂、トイレは共有。1階では居酒屋も経営する。
土樋は、元社員寮で10年ほど使われていなかった物件を改装した。シェアハウスとして5月に開設し、23室のうち8室を8月に民泊登録した。共有スペースで宿泊者と入居者の交流も促す。
民泊は訪日外国人旅行者(インバウンド)らの受け皿として期待されたが、マンションでの無許可営業など問題が相次いだ。民泊のルールを定めた新法は、申請手続きの煩雑さや年間営業日数の上限180日の設定といった規制があり、参入にはハードルも多い。
同社は、自社で民泊物件を直接運営することで事業性を確保するポイントをつかみ、空き家の活用に悩む不動産オーナーらへのコンサルティングにつなげる。
空き家は少子高齢化などで増え、防災面などからも社会問題化している。特に賃貸物件は深刻で、総務省の2013年住宅・土地統計調査によると、全国の賃貸住宅の空き家率は約18.8%に上った。
同社は近年、古いアパートや寮の再生でシェアハウスやゲストハウスも手掛ける。菊地卓哉社長は「今後は空き家対策として民泊の相談も増えていくだろう」と話した。

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