東洋ゴム工業は9月8日、空気充填不要の近未来型エアレスコンセプトタイヤ「noair(ノアイア)」を開発したと発表した。
ノアイアは、内芯側を高剛性の特殊な樹脂スポークで構成し、荷重を支持する力を確保するとともに、トレッド部分にはゴム部材を用いて、「走る、曲がる、止まる」というタイヤの基本性能を成立させている。また、スポークとトレッドゴムの間には樹脂で構成する外径リングの内部をCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)で補強。スポークにかかる荷重を低減している。
過去の試作モデルでは「楕円形のスポーク構造」で荷重を支持していたが、ノアイアではタイヤ幅の奥側と手前側を交互に交差させる「X字型スポーク構造」を採用。独自の支持構造形態で耐久力を向上させた。また、スポーク本数を過去モデルより倍増(100ピッチ)したことで接地圧を分散。接地時に発生するスポークによる打撃音を緩和させ、これまで以上の静粛性を実現した。
ノアイアは、独自の材料設計基盤技術「ナノバランステクノロジー」によって配合した、低燃費トレッドゴムを採用。耐久力については、同社市販製品での法規相当条件を大幅にクリアしたほか、転がり抵抗値も市販製品に比べ25%の良化、ウェット制動距離は4%短縮するなど、優れた環境性能と安全性能を達成している。また車外騒音についても過去の試作モデルから大幅に改善し、現行空気入りタイヤに遜色のないレベルに近づけた。
EVやコンパクトカーなどの未来型モビリティが市場の一角を形成し始める社会を想定した場合、メンテナンスフリー性のニーズがより高まることが予想される。東洋ゴムでは、実車に装着して走行できるレベルに到達しつつあることを踏まえ、コンセプトタイヤにネーミングを行うとともに、スポークのカラー化も実現していくなど、ラボレベルから市販化へ向け、技術開発を加速させていく。
《レスポンス 纐纈敏也@DAYS》