観光客からの「入島料」を自然保護に充てる取り組みが、沖縄県の竹富島で始まっている。集めた入島料は、リゾート開発から守るため土地購入を予定したり、植林やゴミの清掃に使ったりする。ただ、昨年9月の開始以降、収受率は約1割にとどまっている。
3月中旬、石垣島から竹富島への船便は観光客で満席だった。北海道の会社員福島瑛(あきら)さん(26)は港の券売機で入島料300円を支払った。「きれいな海や街並みの保全に役立ててほしい」。だが、券売機の前を素通りする観光客も多かった。
観光客は竹富島と石垣島の各港に1台ずつ置いてある券売機で、船賃とは別に1人300円を支払う。ただ、支払いは任意。支払いを確認されることもない。
竹富島は沖縄の原風景のような赤瓦屋根の家屋が連なり、水牛車での観光が人気。島民は観光客の増加とともに、リゾートホテル開発やゴミ問題、農業の衰退などに頭を悩ませてきた。
年間観光客が初めて50万人を超えた2014年、島民の総会で竹富島の景観保護に「島ぐるみで取り組む」ことを決議。着目したのがその年に制定された地域自然資産法だった。自治体が「入域料」を受け取り自然環境の保護に充てることができ、竹富町が全国初の試みとなった。