日本文学振興会は19日、『第154回芥川賞・直木賞(平成27年度下半期)』の選考会を東 京・築地「新喜楽」で開き、芥川龍之介賞に滝口悠生氏『死んでいない者』と本谷有希子氏『異類婚姻譚』を選出した。滝口氏は2度目のノミネートで受賞、本 谷氏は4度目の候補で受賞を決めた。
滝口氏は1982年東京都生まれ。埼玉育ち。2011年『楽器』で第43回新潮新人賞を受賞してデビュー。15年『愛と人生』で第37回野間文芸新人賞受 賞。芥川賞はお笑いコンビ・ピース又吉直樹と羽田圭介氏が受賞した第153回で『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』が候補作となっていた。
本谷氏は1979年石川県生まれ。2000年より「劇団、本谷有希子」を主宰、作・演出を手掛ける。07年『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を受賞。 09年『幸せ最高ありがとうマジで!』で第53回岸田國士戯曲賞を受賞。11年小説『ぬるい毒』で第33回野間文芸新人賞、13年『嵐のピクニック』で第 7回大江健三郎賞、14年『自分を好きになる方法』で第27回三島由紀夫賞を受賞。芥川賞は第135回の『生きてるだけで、愛』、第141回の『あの子の 考えることは変』、第145回の『ぬるい毒』で候補作となり、4度目のノミネートで念願の受賞となった。『第18回三島由紀夫賞』候補となった「腑抜けど も、悲しみの愛を見せろ」は佐藤江梨子主演で映画化された。石川県出身者の受賞は今回が初めて。
芥川賞・直木賞は1935(昭和10) 年に制定。芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文 芸作品の中から優れた作品に贈られる。前者は主に無名・新進作家、後者は無名・新進・中堅作家が対象となる。
前回(第153回)は、お笑いコンビ・ピース又吉直樹の『火花』と羽田圭介氏の『スクラップ・アンド・ビルド』の2作、直木賞は東山彰良氏の『流』が受賞した。
候補作は以下の通り(敬称略・作者名五十音順)。
■第154回芥川龍之介賞 候補作(掲載誌)/ノミネート回数
石田千『家へ』(群像7月号)/3回目
上田岳弘『異郷の友人』(新潮12月号)/2回目
加藤秀行『シェア』(文學界10月号)/初
滝口悠生『死んでいない者』(文學界12月号)/2回目
松波太郎『ホモサピエンスの瞬間』(文學界10月号)/3回目
本谷有希子『異類婚姻譚』(群像11月号)/4回目