管理職から“ヒラ社員”に戻ったのに収入は増。気づかなかった意外な利点

出世競争に巻き込まれるサラリーマン。だが、いつまでたってもヒラ社員というのはどういう気持ちなのだろうか。つらい? 問題ない? むしろ楽?

そこで、SPA!では全国の「社員数50人以上」の会社で働いている40~54歳のサラリーマンの中から、役職についていない500人を抽出して調査した。40 OVERでヒラという立場を「こんなはずじゃなかった」と嘆く人は少数で、「むしろよかった」という人が21%と多かった。そこで今回は肩書ナシでも生き生きと働く人々に直撃。その“強さ”はヒラ社員の希望となるか。

◆ヒラ社員で“複業”が最強!? 収入増だけじゃない意外な利点

「ヒラという働き方には、無限の可能性がある」と語るのは、6年以上、IT企業のサイボウズや農業関連会社でヒラ社員として働きつつ、自身では組織開発コンサル会社を営むという働き方を実践していた中村龍太さん(54歳)。そのユニークな働き方を選んだ契機は何だったのか。

「’03年までマイクロソフトで管理職として働いていたのですが、上司の期待と部下とのコミュニケーションのギャップに悩み、ヒラ社員に戻ったんです。その後、同社を退職し、『兼業OK』という2社の企業でヒラ社員の働き方を選択しました」

だが、いざ十数年ぶりにヒラ社員として働いてみると、時代の変化を感じる部分も多かったという。

「一昔前は裁量権もあり、給料も高い管理職のほうが有利でした。でも、働き方が見直され、管理職のメリットも消えつつある昨今では、時間の融通が利いて、精神的な負担が少ないヒラのほうが幸せな部分も多い。また、管理職より制約が少ないヒラは、本業で余った時間やエネルギーを副業や自分の好きなことに費やせるのが最大の利点ですね」

副業を通じて本業以外で夢中になれるものを見つけると、不思議と本業でも高い成果が得られるようになると、中村さんは続ける。

「副業で別の会社と仕事をすると、収入増に加え、ビジネス感覚が研ぎ澄まされます。私の場合、ヒラ社員として働く一方、自分の会社を立ち上げたことで、経費への考え方も変わったし、経営者視点が養われて、上司の発言ひとつでも背景が理解できるようになりました。あと、視野が広がり、自信が持てるのも大きい。仮に社内ではヒラでも、社外で居場所があれば、『会社の評価が全部ではない』と気がつけますから」

複数の職を持つ“複業マインド”が功を奏したのか、今年7月、ヒラとして働いていたIT企業のひとつで管理職に昇進した。

「管理職にこだわる気はないので、仮にうまくいかなければ、いつでもヒラ社員に戻ればいい。その余裕があるから、気持ちも楽ですね」

働く場を複数持ち、ひとつの会社に依存しない。副業OKの企業も増える近年、「ヒラ社員+α」の働き方は新たなトレンドとなりえるかも。

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