米の関心低下で中国台頭、「正しい行動」1位は日本 東南アジア意識調査

【シンガポール=吉村英輝】東南アジアの安定のためには米国の関与が重要だが、トランプ米政権の意識は低く、中国の影響力が台頭する-。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の識者に対する意識調査で、こんな認識が浮かび上がった。

調査は「東南アジア研究所」(シンガポール)が4月10〜23日、10カ国の政府職員や経営者、学者、メディア、市民団体を対象に実施し、計318人・企業から回答を得た。

「トランプ政権が重視する」と思う地域は中東(35・8%)、続いて北東アジア(24・8%)。最下位は東南アジア(1・0%)でアフリカ(3・0%)より低かった。

一方、「米国の積極的な関与で東南アジアが安定する」と考える意見は全体の69・8%を占めた。ただ、トランプ政権の東南アジアへの関与については、56・3%が低下すると予想した。

「米国の無関心で生じる東南アジアの力の空白を埋める」と予想する国は、中国(80・2%)が圧倒し、2位の日本(10・9%)を大きく引き離した。

もっとも、世界の平和や安全、繁栄、統治への貢献で「正しい行動をする」との評価では、日本が「とてもそう思う」「そう思う」の合計で首位(62・0%)。欧州連合(EU、45・4%)や米国(26・2%)、中国(23・8%)を大きく引き離して、東南アジアで信頼されている実態が浮かび上がった。

調査を行った同研究所のタン・シュー・ムン上級研究員は「トランプ政権はこの地域への関心が低く、日本が指導的役割を示す好機だ」と指摘している。

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