米アマゾンで絶賛 "ニッポンの味”

 ■マヨネーズ、とんかつソース、きのこの山… 
 日本の“庶民の味”が米大手通販アマゾンを通じてひそかな人気になりつつある。米国では、日本のお菓子や調味料は日本食品店などでしか入手できなかったが、アマゾンの取扱商品が広がったことで、自宅にいながらワンクリックで購入可能になったためだ。アマゾンのサイトでは、日本の絶妙な味付けの菓子や何にでも合う調味料に、病みつきになるリピーターが続出しているという。サイト上でも称賛が寄せられ、販売増につながる好循環が生まれつつある。(今井裕治)
 「こんなにもおいしくなり得るなんて誰が知っていたのか」。米アマゾンのサイト上で、ユーザーから絶賛を受けているのがキユーピーの「マヨネーズ」だ。
 7月現在、12人のユーザーがレビューを書いているが、うち11人が最高評価の5つ星を与え、トータルの評価でも、5つ星を獲得している。キユーピーによれば、同社の米国でのマヨネーズ販売は近年、平均2~3%の伸び。同社広報室では「米国販売での販売は、アマゾン効果かどうかは分からないが、じりじり伸びており、今後もその傾向が続く」と話している。
 調味料・香辛料分野では、ブルドックソースの「とんかつソース」や「S&Bの「粉からし」「七味唐辛子」も、ともにユーザー評価で5つ星を獲得するなど人気が高い。「健康志向の高まりを背景に日本食がブームとなっており、日本食にぴったりの調味料が、高評価を受けているようだ」(日本の食品アナリスト)
 日本のお菓子も頑張っている。特に、明治製菓のチョコレート菓子「きのこの山」と「たけのこの里」が、販売ランキングでは上位につける。約35万点ある食料品の中で、「きのこの山」が1万2920位、「たけのこの里」は3万854位(7日現在)。日本では両者が人気争いをしてきたが、“因縁の対決”は米国では「きのこの山」に軍配が上がった。米アマゾンのユーザーのカスタマーレビューでも、「きのこの山」を評価した11人のうち10人が5つ星を付け、「たけのこの里」は3人のうち2人が5つ星だ。
 明治製菓は、19年秋から「きのこの山」の名称を、それまでの日本語表記から「チョコルームス」に変更して米国で販売。すると、20年には売り上げが前年比で倍増し、21年は5・5倍と急拡大した。今年4月には「たけのこの里」の名称も「チョココーンズ」として売り出しており、「きのこの山、たけのこの里の両商品で、販売増を目指したい」(同社広報)という。
 日本の食品メーカーは国内に依存した事業を展開してきたが、少子高齢化や人口減少などで先行きは厳しく、将来の成長に向けて海外市場の開拓が急務だ。
 米国で人気に火が付けば「文化圏が似ている欧州でも受け入れられる可能性は高い」(大手食品メーカー幹部)と地域的な広がりも予想する。さらに、日本のお茶の間で愛されている庶民的な食べ物が世界に広がれば「日本の食文化の発信にもなる」(同)と文化交流の効果にも期待している。

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