[24日 ロイター] – 2020年東京五輪の米主要スポンサーは、国際オリンピック委員会(IOC)と安倍晋三首相が合意した1年程度の延期に支持を表明した。スポンサー契約に詳しい専門家によると、多額の協賛金の返金は求めないとみられる。
安倍首相は24日夜、IOCのバッハ会長と電話会談し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、7月に予定されていた東京五輪を1年程度延期し、遅くとも2021年夏までに開催することで合意した。
延期の発表を受け、大手スポンサーの米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)<PG.N>、米半導体大手インテル<INTC.O>、米民泊仲介エアビーアンドビー、米飲料大手コカ・コーラ<KO.N>は五輪スポンサーを続けると確認。ブリヂストン<5108.T>は発表前にロイターに対し、延期の場合は「創造的な解決策を見いだす」と表明していた。
調査会社グローバル・データによると、コカ・コーラやP&G、インテルを含むスポンサー企業14社は今年だけで5億ドルの協賛金を支払い、最上位スポンサーとして結んだ複数年契約では40億ドル近くの費用負担に合意していた。
コカ・コーラの広報担当は「協賛期間が最長の五輪スポンサーとして、当社は引き続き、五輪の安全で成功裏の開催のために、IOCおよび東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会(TOCOG)と協力する決意だ」と述べた。
非利益団体のIOCは放映権と大手スポンサーからの協賛金収入を主な運営資金としているため、スポンサーの重要性は高い。
ロイターは個別のスポンサー契約を確認していないが、契約に詳しい専門家によると、契約内容はさまざまで、東京五輪の延期によってIOCに何らかの契約上の義務が発生するわけでは必ずしもない。
ただ、一部の契約では、1年かそれ以上の延期に伴い、IOCにはスポンサー企業の損失を補償する義務が生じる可能性があると弁護士などは指摘する。
米マナット・フェルプス&フィリップス法律事務所の弁護士は、損失補償の方法としては、日用品メーカーの商品やロゴをさりげなく露出する「プロダクト・プレースメント」やプロモーション・ビデオ、五輪開催中のイベント開催などが考えられると説明した。
あるメディア幹部は、新型コロナが世界経済に打撃を与えているため、一部の企業は高額の協賛金負担を伴う長期スポンサー契約を維持するのが困難になるかもしれないとみている。
米ファストフード大手マクドナルド<MCD.N>は2017年にリストラを進めた際、長期の五輪スポンサー契約を解除している。
五輪スポンサー大手の法務を担当する法律事務所デイビス&ギルバートの幹部は「一部のスポンサーが契約を全面的に解除するというのは可能性として大いにある」と述べた。