米国のテレビ番組やハリウッド映画を提供している人気動画サイトの米Huluは10日、日本で年内にサービスを開始する計画であることを発表した。
「月額固定料金」で「人気ハリウッド映画や海外ドラマの豊富なラインナップ」を「テレビやパソコン、携帯電話、タブレット型端末で」楽しめるサービスになるとしている。
関心のあるユーザーは、「www.hulu.jp」でメールアドレス登録を行うと、最新情報を受け取ることができる。
Hulu日本語版準備サイト
Huluは、米国の主要なテレビや映画をインターネットを通じてオンデマンドで見られるサービス。オンデマンドのためテレビ番組が始まるのを待つ必要がないだけでなく、無料版では広告を見るだけで多くの番組を合法的に視聴できる。米国における若者のテレビ視聴のあり方を変えたとして、大きな注目を集めている。
米調査会社comScoreが7月16日に発表した統計によれば、Huluはインターネット動画サイトのユニーク視聴者数では9位だが、1視聴者あたりの視聴時間ではGoogle系サイト(YouTubeを含む)の324分に次ぐ184分で、他を大きく引き離して2位の座に着くまでになっている。さらに、視聴されたビデオ広告数では他を大きく引き離して1位となっており、ビデオ広告のビジネスモデルとしても注目を集めている。
このように、Huluは米国で人気を博しているものの、米国外への進出は今回の日本が初めてとなる。
Huluは、2007年3月にNBC UniversalとNews Corporationによって設立され、その後Disneyなどが加わり、経営が行われている。
コンテンツを提供している企業は260社を超え、ABC、FOX、MTV Networks、NBC Universal、National Geographic、Paramount、Sony Pictures、Warner Bros.など、主要なテレビ、映画ネットワークの多くがコンテンツを提供しており、良質の映画やドラマ、ドキュメンタリーなどが見られる。
現在、米国でのサービス体系は、広告表示により無料で視聴できる「Hulu」と、月額7.99ドルの「Hulu Plus」に分かれている。
無料版では、連続ドラマで最近5回分しか見られないことや、PCやMacでしか視聴できないといった制限がある。一方、有料版ではすべての回を見られるほか、有料版のみで提供されるコンテンツもある。さらに広告表示も少なくなり、コンテンツ側が対応していれば720pのHD画質表示も可能だ。さらにPCやMacだけでなく、タブレット端末、スマートフォン、ゲーム機、テレビ、ブルーレイディスクプレーヤー、セットトップボックスなどからも視聴可能となっている。
なお、現時点での日本向けサービスの発表文では「月額固定料金」との表記があり、無料版の提供についての言及はない。
日本でもテレビ離れが注目されるようになってきているが、優良なコンテンツには人気が集まるとの指摘もある。Hulu国際部上級副社長のヨハネス・ラーチャー氏も発表文の中で、「日本の視聴者はプレミアム動画コンテンツへの関心がたいへん高い」と述べている。すでに多くの海外で人気の連続テレビドラマシリーズが日本でも人気を得ている。Huluが米国でDVDレンタルサービス最大手のNetflixと激しい競争を展開しているように、今後は日本でもレンタルサービスとHuluが競合してくる可能性も出てきた。