米国を唖然とさせた菅政権

 震災対策で、米国を唖然とさせた日本政府の対応があった。自衛隊ヘリコプターによる3月17日の原子炉上空からの放水だ。
 米国務省の震災対応タスクフォース(特別任務班)携わったケビン・メア元国務省日本部長は新著「決断できない日本」に、その奇異さを記している。
 「大津波襲来による電源喪失から1週間が経過したその日、日本という大きな国家がなし得ることが、ヘリ1機による放水に過ぎなかったことに、米政府は絶望的な気分さえ味わった」
 メア氏は「菅首相は福島第1原発事故の責任を取りたくないばかりに、事故処理をあくまで東京電力の問題としたフシがある」と言い切る。
 「あきれるような対応」はほかにもあった。
 事故直後、米国側は日本側に提供できる品目のリストを送った。ところが、日本からは回答はなく、長々とした質問だけが送られてきた。
 リストに記載されていた無人ヘリ。日本側は性能や特徴に関する細かな質問をした上で、「放射能で汚染された場合の補償はどうなるか」と非常事態とは思えない質問まで並べた。
 その問い合わせに答えるために、日米間で2週間が空費されたという。メア氏は「誰も責任をとりたくないから、緊急事態でも決断できる人がいない」。そう菅政権を断罪する。(酒井充)

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