【ワシントン=黒瀬悦成】中国共産党の傘下にある英字新聞「チャイナ・デーリー系の政治宣伝紙「チャイナ・ウオッチ」が全米の主要紙の折り込み紙面として読者に配られている問題で、米紙ワシントン・ポストは29日、「この広告紙面はチャイナ・デーリーが作成したもので、ポスト紙の編集や論説のスタッフは関与していない」との文言が大きく明記された折り込み紙面を同日付で提供した。
チャイナ・ウオッチをめぐっては、中西部アイオワ州の地元紙「デモイン・レジスター」が昨年、トランプ大統領の対中政策のせいで同州の農家が苦境に追いやられているといったプロパガンダ記事掲載の紙面を配布し、米議会などで問題視された。
その際も、折り込みには1面に「中国政府の刊行物であり、デモイン・レジスターは関与していない」とのただし書きが記載されていた。ただ、ポスト紙では全8ページの折り込みの全てのページの冒頭に同じ文言が青地に白文字で目立つように書かれているほか、下面には発行元の情報に関し米司法省の文書で参照可能であると記されている。
チャイナ・デーリーは1983年、米司法省から「自国政府を代弁する広報活動を行う代理人」であると認定され、「外国人代理人登録法」(FARA)への登録が義務づけられた。
ポスト紙の措置は、折り込みが「中国の政治宣伝」であることを読者に明確に認識させることを狙ったとみられるが、広告料を徴収してこのような紙面を配る行為自体が「中国の工作に加担している」として米世論の批判にさらされる可能性は高い。