【ワシントン時事】ロイター通信は米東部時間26日夜(日本時間27日午前)、南シナ海・南沙(英語名・スプラトリー)諸島に中国が造成した人工島から 12カイリ(約22キロ)以内に、米軍が海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とするイージス駆逐艦「ラッセン」を送り込んだと報じた。米国防当局者 の話として伝えた。
中国が実効支配する南シナ海の岩礁から12カイリ以内への米艦進入は2012年以来。哨戒機P8Aがラッセンに同行している 可能性もある。米国防当局者はロイターに「作戦は数時間で終了する」と語った。米軍は今回に限らず、艦船・航空機の人工島周辺への派遣を繰り返す意向とみ られ、「南シナ海は固有の領土」(習近平国家主席)と唱える中国の反発は必至だ。
ラッセンが進入したのは、滑走路建設が進んでいるスービ(渚碧)礁とミスチーフ(美済)礁。中国はスービ、ミスチーフを含め、南沙諸島に築いた人工島から12カイリ以内を「領海」だと主張しているとされる。
ただ、スービ、ミスチーフとも中国による埋め立て工事前は満潮時に水没する暗礁で、国際法上、領海は認められない。米政府は両礁の周辺は国際水・空域だと 強調しており、軍艦派遣を通じ、中国の主張を認めないとの立場を内外に示した形だ。ロイターによれば、ラッセンはP8Aに加え、哨戒機P3を伴っている可 能性もある。