米FRBが3日、追加金融緩和策を決定した。6000億ドル(約49兆円)で米国債を購入し、市場に資金を供給する方針だ。
「市場予測は5000億ドル程度でしたから、これを上回る6000億ドルはサプライズです。米国は量的緩和でドル安に向かうでしょう。その結果、輸出企業の業績は上向き、NY株式市場も活気づく。一方、金余りが顕著になり、投機マネーが新興国に流れ込みやすくなります。不動産や株式に大量の投機マネーが投入され、新興国バブルが起きる懸念が浮上しています」(第一生命経済研究所の桂畑誠治主任エコノミスト)
今後成長の見込める中国やインド、ベトナム、インドネシア、ブラジルなどでバブルを誘発する恐れがあるのだ。実際、インドのムンバイ証券取引所は4日の終値が過去最高値を更新した。約2年10カ月ぶりだ。米金融緩和の影響で投資マネーが大量に流れ込んだことが最高値の理由。早くもバブルの兆候というわけだ。日本市場はどうなのか。4日の平均株価(終値)は200円近く上昇した。
「世界の株式市場は大量のマネーであふれる流動性相場の様相です。日本市場も新興国ほどではないにしろ例外ではありません。ただし円高というマイナス要因は残ります。ドル安傾向が強まれば、円高に拍車がかかります。そこが心配です」(桂畑誠治氏)
政府・日銀は何としても円高に歯止めをかける必要がある。それができないと、日本だけが世界から取り残されるハメになりかねない。
(日刊ゲンダイ2010年11月5日掲載)