糖尿病治療薬が「やせ薬」に? 美容目的使用広がりで品薄、出荷制限

食事制限や運動は不要。やせやすく太りにくい――。インターネット上で「やせ薬」として紹介される糖尿病の治療薬に出荷制限がかかる事態が生じている。製薬会社の供給不足が主な原因とされるが、その背景には美容目的での利用の広がりもある。糖尿病治療に影響が出るとして、医師らは「本当に必要な人に薬が行き渡らなくなる」と危機感をにじませる。 【写真】「安全性は確認されていない」  問題になっているのは「GLP―1受容体作動薬」。インスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きをする。注射薬や飲み薬があり、「2型糖尿病患者」に投与される。欧米では、食欲を抑えるとして肥満症の治療でも使われている。  医療関係者によると、この薬が保険適用されない自由診療を中心に処方されているという。ネット上で「GLP―1ダイエット」と検索すると、効果の宣伝とともに「オンライン診療で薬を受け取れる」「すぐに発送」など、手軽さも強調する美容系クリニックのページが複数表示される。  製薬会社や日本糖尿病学会、厚生労働省などの関係機関は、こうした薬について「糖尿病でない人への安全性と有効性は確認されていない」として注意喚起している。

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