納豆成分にコロナ感染阻害効果確認 細胞実験 食べて有効かは不明

納豆に含まれる成分に、新型コロナウイルスの感染を阻害する効果があることが確認されたとの実験結果を、東京農工大などの研究チームが13日付の国際学術誌「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ」電子版に発表した。チームは、食品に含まれる成分に抗ウイルス効果があることが直接確認できたのは極めて珍しいとしている。

 新型コロナは、ウイルス表面にあるとげ状の「スパイクたんぱく質」が、ヒトの細胞表面にある受容体たんぱく質「アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)」に結合して感染する。

 大豆を発酵させて納豆を作る納豆菌は、腸内環境を整え、免疫力を高める効果があるとされる。そこでチームは、納豆菌が分泌するたんぱく質の分解酵素に着目。納豆の成分を取り出した抽出液と、中国で当初流行した新型コロナウイルスを試験管で混合させた上で培養細胞に加え、細胞への感染を防げるかどうかを調べた。

 その結果、抽出液の成分がウイルス表面のスパイクたんぱく質を分解してしまうため、細胞への感染を防げることが判明した。一方、納豆に含まれるたんぱく質の分解酵素は加熱すると不活化するため、混合液に熱を加えると感染は防げなかった。このため、分解酵素がウイルス表面を壊し、細胞への感染を防いだとチームはみている。また、英国で初めて報告され、感染性が高いとされる「N501Y」変異株でも、同様にスパイクたんぱく質を分解する効果を確かめた。

 一方、チームは牛に呼吸器疾患を起こすヘルペスウイルスでも、同様の効果を確認したという。

 ただ、いずれも培養細胞を使った実験のため、実際に納豆を食べて感染を防げることが示されたわけではない。チームの水谷哲也・東京農工大教授(ウイルス学)は「食品中に抗ウイルス効果があれば感染者数を増やさないための手段になり得るのか、今後さらなる検証が必要だ」と話している。【岩崎歩】

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