経営層が選ぶ「最も卓越した経営者」

日本能率協会(東京都港区)は、これからの経営者に求められる要件、経営者・役員のためのトレーニングの在り方に関する調査を実施した。その結果、これからの経営者に求められる資質として「本質を見抜く力」(41.4%)が1位となった。また、「最も卓越した経営者」の1位は稲盛和夫だった。

トップマネジメント意識調査 (画像はイメージ)

 同協会が主催する役員・経営幹部向け研修プログラムの受講者278人を対象に、これからの経営者に求められる資質として、特に重要だと思うものと自身の強みだと思うものを聞いた。その結果、重要であると思われる資質は「本質を見抜く力」(41.4%)が最多となり、「変化への柔軟性」(37.4%)、「イノベーションの気概」(24.8%)と続いた。

 自身の強みであると思う項目の回答結果と比較すると、「変化への柔軟性」(34.5%)が重要度と同水準であるのに対し、「本質を見抜く力」(18.7%)と「イノベーションの気概」(9.4%)は重要度との乖離(かいり)が大きいことが分かった。

これからの経営者に求められる資質(出所:プレスリリース、以下同)

 現在の役職への就任を打診された際、職務の遂行に必要なスキルやマインドなどの準備ができていたかどうかを尋ねたところ、「十分に準備ができていた」「ある程度の準備ができていた」が合わせて4割だった。

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 一方、「全く」「あまり」を合わせた「準備できていなかった」という回答は3割を超える結果に。

現在の役職への就任打診時の準備について

 経営者として必要と思われる知識やスキルについて、既に身につけているもの、就任前に身につけておけば良かったものを聞いた。もっと身につけておけば良かった知識やスキルの1位は「会社法・税法などに関する法律知識」(71.6%)となった。2位は「財務・会計に関する知識」(69.1%)となり、それぞれ既に身につけていると答えた回答とのギャップが50~60ポイントと大きかった。

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経営者となるためのトレーニング「受けていない」が6割越

 これまでに経営者となるためのトレーニングを受けたことがあるか尋ねたところ、「受けてきた」(「十分に」「ある程度」)が4割を下回っているのに対し、「受けていない」(「あまり」「全く」を合わせて)が6割を超えた。

 また、これまでに受けたトレーニング機会については、「社外の経営幹部育成研修の受講」(52.3%)が最も多く、次いで「戦略・ビジョン策定プロジェクトへの参加」(50.6%)、「社内の経営幹部育成研修の受講」(49.4%)と続いた。

経営者となるためのトレーニングについて

これまでに受けたトレーニング機会について

 今後の経営戦略へ影響が想定される項目の関心度合いを聞いてみると、「デジタル技術の活用、DXの推進」が最も高い関心を集め、「人的資本経営の推進、組織能力・人材の強化」「テクノロジー動向の把握と対処」と続いた。

今後の経営戦略へ影響が想定される項目への関心度合い

 日本の産業界の国際競争力・持続的成長については、「不安である」(「やや」~「かなり」を合わせて)が9割に達し、自社の今後の競争力・成長についても、「不安である」の合計が5割を上回った。

今後の日本と自社の競争力・成長について

「最も卓越した経営者」 1位は稲盛和夫

 最も卓越した経営者であると思う人物を尋ねたところ、稲盛和夫氏(50票)、松下幸之助氏(44票)に票が集まった。その他、本田宗一郎氏(14票)、スティーブ・ジョブズ、渋沢栄一(11票)という回答もランクインした。

もっとも卓越した経営者であると思う人物

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 同協会の経営研究主幹である曽根原幹人氏は、「これからの経営者に求められる資質として上位にあがった項目から考えると、大局観をもって変化に挑戦する経営者の育成が、これまで以上に求められているといえる」とコメントした。

 今回の調査は、同協会のトップマネジメント研修の受講者278人を対象に、質問紙法で実施した。調査期間は7月14日~10月26日。

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