宮城など4県で新型コロナウイルス特措法に基づく事業者への休業要請が7日に解除されたことに、経済関係者からは歓迎の声が上がる半面、新型コロナの感染拡大前の状態に戻るのは難しいとの見方が多い。
仙台商工会議所の今野薫専務理事は「店にとって足かせが一つ外れたので、休業要請解除自体は歓迎すべきこと。ただ、客足が戻るかは別問題」と強調する。
事業者が低金利融資で借り入れた運転資金は3カ月程度で底を突く。特に宿泊業者は旅行需要の落ち込みで先が見通せず「行政はスピード感を持って支援を事業者の手元に届けてほしい」と注文を付ける。
東北経済連合会の海輪誠会長は「休業要請解除に当たっては、感染拡大防止対策が前提となり、以前のような営業形態で全面的に再開できるということではない。厳しい経営が今後も続く」と指摘。持続化給付金などの交付や拡充に関する速やかな対応を求めた。
民間の信用調査会社2社は、終息までに長期間を要すれば経営者の意欲が低下し、余力のあるうちに廃業を選ぶ事業者が出てくる可能性に言及する。
東京商工リサーチ東北支社の中〓直哉情報部課長は「利益が出ない中での借り入れに抵抗感を持つ事業者も多い。金融機関などに弾力的な運用を取ってもらうことも必要だ」と話す。
帝国データバンク仙台支店の三角謙二情報部長は「融資を受けても返す当てがなければ、経営者がやる気を見せるかどうか」と危惧。今後の動向を「どの企業もボーナス激減の可能性が高く、消費者の需要は戻りにくい」と予想する。
七十七リサーチ&コンサルティング(仙台市)の田口庸友首席エコノミストの試算では、宮城県内の経済損失は3、4月で推計748億円に上るという。
田口氏は「首都圏の緊急事態宣言解除まで経済の本格的な回復は望めない。店内で社会的距離を保つことに伴う稼働率低下などから、宣言解除後も経済が元の水準まで戻るのは難しい」との見方を示した。