経済産業省は3日、東日本大震災で寸断されたサプライチェーン(部品の調達・供給網)の強化などにつなげる国内立地補助事業として、企業の設備増強など全国245件の事業を採択した。補助総額は約2000億円。東北では、スマートフォン(多機能携帯電話)関連や被災した生産拠点の再生計画など21件が対象となった。
東北の県別内訳は宮城が10件で最も多い。他は青森と山形が各4件、岩手、秋田、福島がそれぞれ1件だった。
このうちスマートフォン関連では、電気部品大手アルプス電気(東京)が古川工場(宮城県大崎市)など宮城県内の3工場で、関連部品の製造装置を導入する。総事業費は二十数億円を見込み、春以降の稼働を計画する。
セイコーエプソン(長野県諏訪市)のグループ会社で微細合金粉末製造のエプソンアトミックス(青森県八戸市)が同市内で計画する新工場建設も対象となった。投資額は32億円で、スマートフォン関連部品の生産能力を現在の3倍に引き上げる。
設備関連の採択事業では、事務機器製造の東北リコー(宮城県柴田町)も省電力型トナーの生産ラインを東北リコー内に増設。シリコンウエハー製造の信越半導体(東京)は、主力の白河工場(福島県西郷村)の生産設備を増強する。
震災からの再生関連では、日本製紙グループ(東京)が、石巻工場(石巻市)の原紙製造装置の一部をコピー紙向けに改造し、規格サイズに用紙を切断する裁断機も備える。新日鉄グループの日鉄住金建材(東京)も、復旧中の仙台製造所(仙台市)でライン強化を進める。
東北に集積が進む自動車関係については、ブレーキ部品製造の曙ブレーキ山形製造(山形県寒河江市)が、13年度中の操業を目指し省エネ型の生産ラインを新設する。内装品製造のトヨタ紡織東北(岩手県北上市)は、東北での完成車増産に対応するため、8億円をかけて宮城工場(宮城県大衡村)のラインを増強する。