絶滅の危機に瀕するWebデザイナーという職業 Wix(ウイックス)がIPOへ

イスラエルのソフトウェア企業、Wix(ウイックス)が近くナスダックに上場します。
ウイックスはウェブサイトを構築する際のコア・ソフトウェアならびにサービスを提供している企業です。そういう言い方だとわかりにくいと思うので、敢えて不正確な喩え方をすれば、「中小企業向けTumblr」をイメージして頂ければ良いです。
同社の創業者たちは、Webデザイナーがウェブページを構築する際に、ちょうどマイクロソフト・ワードやパワーポイントに匹敵するような、簡単で優れたソフトウェアが無いことに驚きました。それが起業のキッカケです。
そこでWix OSというウェブサイト構築ソフトウェアを開発し、それをSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)というカタチで提供することを始めました。
いま美容院の経営者やパン屋さんなどのスモール・ビジネスのオーナーが、Wix.comに行くと、無料で自分のビジネスのウェブサイトを開設できるサービスを利用することができます。
そこでちょうどブログやTumblrを使うのと同じ感覚で、自分の会社のサイトを構築してみて、気に入れば無料サービスで表示されてしまう不要な広告を取り除くため、サブスクリプション(月間・年間購読)を購入すれば良いのです。
難しいプログラミング言語を知らなくても、ドラグ&ドロップで、簡単に出来てしまいます。
普通、中小企業がWebデザイナーに「こういうサイトを作ってくれ」と依頼すると、なかなか自分のイメージ通りのサイトが出来ないし、アメリカの場合、100万円から200万円くらいウェブサイト作成請負料が発生します。Wixは、中小企業が直面するこの初期費用をゼロにしてしまうのです。
しかも企業ウェブサイトはモバイルへの対応やイーコマースへの対応など、どんどん複雑化しています。また自社ウェブサイト上でミーティングをスケジュールしたり、CRMや在庫管理などのソリューションを組み込むなど、複雑なニーズが出てきています。場合によっては、自分が起用したWebデザイナーには、そのようなスキルが無いケースもあるでしょう。
Wixは、それらの新しい機能を、全てドラグ&ドロップで追加できるようになっています。つまりこれまで「IT土方」のひとたちの涙ぐましい作業によって構築されてきたウェブサイトを、ソフトウェアに置き換えてしまったわけです。
同社のサービスには現在3900万のレジスタード・ユーザーが居ます。また70万のプレミアム・サブスクリプションがあります。課金は毎月ないしは年間で、一度顧客になったユーザーの離反は、ほとんどありません。同社は毎月100万人レジスタード・ユーザーを新しく加えています。
世界にはウェブサイトが7.67億あり、毎年、7900万の新しいウェブサイトが開設されています。するとウイックスは39.7万サイトなので、シェアは0.5%に過ぎません。まだまだ同社の成長の余地は大きいわけです。
【ディールの詳細】
上場市場:ナスダック
ティッカーシンボル:WIX
今回発行株数:770万株
ディール後発行済み株式数:3642万株
うち新株:71%
初値設定:14.5から16.5ドル
幹事:JPモルガン、メリルリンチ、RBC、ニーダム、オプコ

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