絶滅種のカエルを13年ぶりに再発見、エクアドル

猛威を振るうツボカビ病の兆候なく、研究者らに驚きの声

 2002年に目撃されたのを最後に絶滅したと見られていたヤセヒキガエル属の1種(学名:Atelopus bomolochos)が、南米エクアドル、クエンカ近郊の森で生きていることがわかり、関係者を喜ばせている。

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しかも驚くべきことに、新たに見つかった集団には、彼らの絶滅の原因とされていたツボカビの兆候が見られないという。

再発見の意味は重い。なぜなら、このカエルは一帯に蔓延しているツボカビに、中南米で初めて感染が確認された種だからだ。

オレンジ色とオリーブグリーンの体色を持つカエルに大きな打撃を与えたツボカビは、その他さまざまな要因と相まって、過去25年の間に両生類の数を激減させ、いくつもの種を絶滅の淵に追い込んできた。

「ヤセヒキガエル属のカエルは、いわばドードーやフクロオオカミと同じような存在です」。エクアドルの首都キトにあるインドアメリカン大学の生物多様性・気候変動調査センター所長、フアン・マヌエル・グアヤサミン氏はそう語る。

「過去には、彼らが数多く生息していた時期もあったことがわかっています」

ヤセヒキガエル属はその後減少した。「このカエルの目撃情報がもたらされることもときにはありましたが、いつも勘違いばかりでした。ただし今回は違います」

絶滅の判断基準

 国際自然保護連合(IUCN)によると、ある種が絶滅したと規定されるのは、既知の、あるいは見込みのありそうな生息地で徹底的な調査を行った後、「最後の個体が死んだということに対して、根拠のある疑義を提示できないとき」だという。

「このカエルは昼行性で、鮮やかな体色を持ち、かつてはごく当たり前に見られる種でした。彼らが突如として姿を消したことには、専門家だけでなく地元の人々も気づいていました」とグアヤサミン氏は言う。

2002年以降、姿を消したこのカエルを絶滅種と判断した原因は、「ですから、調査不足というわけではありません」

再発見された例

 絶滅したと見られていたカエルが再発見された例は過去にもある。

たとえば2014年にはコスタリカで「サウス・パシフィック・ストリームサイド・フロッグ(South Pacific streamside frog、学名:Craugastor Taurus)」の集団が2つ見つかっている。この国では近年、絶滅危惧種の再発見が相次いでいる。

また2010年には、原産地で局所的に生き残っているかもしれないと研究者らが予想した100種について、世界規模で両生類の継続調査を行った結果、15種が再発見され、新種も2種見つかった。

その中には、絶滅種とされていたアフリカのカエルや、姿を消していたメキシコのサンショウウオ、20年間目撃情報のなかったハイチの6種の両生類などが含まれる。

油断は禁物

 もちろん、今回再び見つかったカエルがツボカビに感染していないからといって、この先の生存が保証されたわけではない。

このカエルの生態についてはまだ詳しいことがわかっていない。はっきりしているのは繁殖させるのが容易ではないことくらいだ。「彼らは繁殖活動にはなかなか積極的になってくれないのです」とグアヤサミン氏は言う。

「彼らは川の中で抱接(メスがオスを背中に乗せる交尾の体勢)を1カ月以上続けます。その間、オスは何も口にしません」

メスは数百個の卵を産むが、卵は捕食者に狙われやすく、たとえば外来種のマスはひとかたまりになった卵をまる飲みしてしまう。

中南米に生きる両生類にとって、ツボカビの他にも大きな問題となっているのが生息地の破壊だ。専門家は、とりわけアブラヤシのプランテーションの急速な拡大と気候変動を懸念している。

姿を消した種が再発見されたのは希望が持てるニュースだが、彼らが本当に絶滅してしまうのを防ぐのは、多大な困難をともなう仕事だ。

「いちばん難しい部分はこれからです。まずは発見した集団を確実に生き延びさせていくためには何をしたらいいのかを解明しなければなりません」

そのためには大学、政府、調査機関の相互協力や、資金調達はもちろんのこと、この国の天然資源を活用しつつ、野生生物とも共存する方法を模索し続けていくことが不可欠だ。

これは容易なことではないが、グアヤサミン氏は言う。「種が再発見されるたびに、我々は物事をもう一度正しくやり直すチャンスをもらっているのです」

*このカエルの再発見には、環境保護団体「Tropical Herping」を含め、クエンカのアマル動物園、インドアメリカン大学などたくさんのグループが関わりました。最初に再発見を報告したのはエクアドル環境省とクエンカにあるアスアイ大学の科学者たちです。

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