絶版となった書籍を電子化して販売するサービス「絶版堂」が、実際に販売を開始する前にサービス終了を発表した。
このサービスは、絶版となった書籍の著者もしくは著作権所有者が、「絶版堂」に委託する形で、実物の絶版書をスキャンして電子化。販売価格は委託者が設定し、売り上げから「絶版堂」が受け取る販売手数料(価格の35%+決済にかかる実費)を引いた額が委託者に支払われる、という仕組みだ。
サービス終了の理由については、「現在のご委託状況からサービス継続が困難と判断したため」とのこと。詳細は不明だが、思うように絶版書電子化の委託が集まらなかったということなのだろうか。今回のサービス終了について、ネット上では、「なんか残念すぎる」「おもしろそうだったんだけど」と惜しむ声も聞こえてくるが、「そんな末路だろうとは思ってたが、予想以上に早かった」「やっぱりか」との声も少なくなかった。
ちなみに、「絶版堂」以外の絶版書電子化サービスとしては、漫画家・永井豪が率いる漫画プロダクション・ダイナミックプロが開設した「ダイナミックアーク」が存在している。絶版したライトノベルやSF小説を中心に電子化するサービスで、作者と直接交渉して作品を集めているという。ほかにも、恋愛小説でおなじみのハーレクイン社は、過去のハーレクイン作品の絶版本のなかからリクエストの多かった作品を電子化して復刊する、というキャンペーンを継続的に実施している。
いずれの絶版書電子化サービスも、特定のジャンルに特化したものであり、いわゆる固定ファン向けサービスだといえるだろう。そう考えると、特定の読者を想定しなかった「絶版堂」のサービス終了は仕方ないことだったのかもしれない。
(R25編集部)