緊急事態解除 大丈夫? 宮城県、感染者ゼロ2週間 自粛疲れの反動警戒

宮城県と仙台市は12日、新型コロナウイルスの新たな感染者が確認されず、2週間連続でゼロとなったと発表した。ウイルスの潜伏期間は最大で約2週間とされ、県は政府の緊急事態宣言の14日解除を見込むが、気の緩みを懸念。無秩序で大規模な人の移動は、感染の「第2波」を招きかねない。宣言解除の場合、外出や移動をどの範囲まで認めるのか、政府の方針に関係者は神経をとがらせる。
 「無条件の越境はまずい。自粛疲れの反動が出る」。重点的な対策が必要な「特定警戒都道府県」を除く34県間の移動緩和を政府が検討するとの一部報道に、県幹部は警戒感をあらわにした。
 県内で感染が確認されたのは累計88人で、最後は4月28日。入院・療養中は12日現在7人まで減った。患者の入院先(97床)や軽症者らの療養先(200室)、PCR検査可能数(1日当たり180件)など医療体制には余裕がある。県庁内では「宣言解除の可能性は現時点で高い」と見る向きが多い。
 村井嘉浩知事の周辺は「患者の減少は、県民の頑張りの成果」と前向きに評価するが、移動自粛を解除してすぐに第2波が発生した北海道やソウルの例から「手綱を一気に緩めれば、同じパターンに陥る」と不安視する。
 県内では新型コロナ特別措置法に基づく事業所への休業要請が7日、全面解除された。直後の週末、仙台市中心部には人通りが戻ってきた。
 別の県幹部は「宣言の解除で『もう大丈夫だ』とのムードが生まれる」と危惧する。34県を自由に移動できるとなれば、首都圏経由も増えると予想され、「特定警戒都道府県の感染者数を往来緩和の判断材料にすべきだ」と訴える。
 「感染者ゼロ」は当日の数ではなく、2週間前の行動の結果にすぎない。感染しても症状が出ない「不顕性感染」もあり得る。県疾病・感染症対策室の担当者は「余裕をみて、さらに2週間は注意する必要がある」と慎重姿勢を崩さない。

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