緊急避難所に風力・太陽光発電の照明 夜も光で安心 名取

宮城県名取市閖上地区の「津波緊急避難場所」になっている旧閖上小校舎の階段に風力・太陽光発電の照明が設置された。東日本大震災以降、空き校舎となって電気の供給が停止しているため、夜間でも住民が安全に避難できるようにするのが狙い。名取、仙台両市にキャンパスがある仙台高専が文部科学省の補助事業を活用して設けた。
 被災地の復興と産業再生を目的に東北地方六つの高専が連携して取り組む「震災復興高専プロジェクト」の一環として、仙台高専が名取市に設置を申し出た。市は3階音楽室に発電機や投光器、非常食、毛布などを置いているが、照明がない中での階段の上り下りを不安視する声があった。
 今回取り付けられたのは、風力と太陽光の両方で発電しながら、LED照明を点灯させる高さ6メートル余りの「ハイブリッドポール」。1階から3階につながる非常階段の上り口に設置された。屋上にもソーラーパネルを設け、音楽室に置いた蓄電池に充電する。フルに充電すれば連続30時間以上点灯するという。
 設置には地元企業も協力した。9日にあった点灯式で、佐々木一十郎市長は「周辺には家屋の流失を免れて居住している住民も相当数いる。万一の時も安心して避難してもらえるのではないか」と感謝した。
 仙台高専の学生たちは今後、照明設備のデータを取りながら改良を重ねていく方針。学んだ技術を、自然エネルギーを活用する被災地の住環境開発などのプロジェクトに生かす考えだ。

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