NTT東西地域会社が申請した光回線の接続料改定について検討してきた総務省情報通信行政・郵政行政審議会の電気通信事業部会は29日、NTT東西が3年間で段階的に2010年度比約30%まで引き下げるとした2011~13年度の光回線の接続料金を申請通り認可すべきだと答申した。これを受け、総務省は4月上旬にも認可する見通しで、通信事業者が提供する光サービスの利用者料金も値下げが期待できる。
NTT東日本は、1芯で最大8ユーザーまで利用できる戸建て用接続料は11年度に月額3756円(10年度比10%減)、12年度に3155円(同25%減)、13年度に2982円(同29%減)と3段階で引き下げる。
NTT西日本も同様に4298円(同2%減)、3995円(同9%)、3010(同31%)と下げ、東西格差は189円から28円に縮まる。
事業部会は答申にあたって、NTT東西が要望していた接続料の需要予想と実際の収入の乖離(かいり)額調整の恒常化を退け、特例措置とすることを認可条件とした。
通信事業者が要望していた光回線1芯を細分化して貸し出す「分岐単位接続料」の導入については先送りした。根岸哲部会長は「東日本大震災の影響で通信の確保という優先課題があることを考えて継続審議とした」としており、今夏以降に再び検討する見通しだ。
一方で、複数の事業者が共同で1芯を借りる「コンソーシアム方式」の導入を求めた。コンソーシアム方式は、制度上は現状でも可能だが事例はなく、総務省に「円滑な利用促進に向けて必要な取り組みをしてほしい」(根岸部会長)と要請した。
光回線の接続料改定をめぐっては、ソフトバンクやイー・アクセスなどが分岐単位接続料の設定を強く求めたが、NTTは技術的な問題やサービス提供への支障などを理由に拒否。自前の光回線設備を持つKDDIも歩調を合わせて分岐単位接続に反対するなど、審議を通して事業者の温度差が浮き彫りになった。