大阪府が大規模な“リストラ”を始めた。といっても職員ではなく、着ぐるみキャラクターなどの「ゆるキャラ」のこと。
現在、大阪府には92体のキャラがいる。内訳は府が直接管理する「公式」が31体、民間指定管理者などが所管する「準公式」が36体、実行委員会などが所管する「関連」が25体だ。念のために言うと、大阪市や堺市といった市区町村のキャラは含まれない。大阪府だけで92体もいるのだ。
それらのキャラのうち、最古参の「もずやん」をエースとして重用していくのだ。もずやんは97年の「なみはや国体」に際して起用されたキャラ「モッピー」を改名したもの。大阪府のゆるキャラ第1号だ。
■府民からクレーム
「ほかのキャラを廃止するのではなく、府の公式HPや府政だより、公式SNSなど、主要な広報媒体に登場するキャラをもずやん1体に絞るということです。以前から、府民のみなさんから<キャラが多すぎて紛らわしい>というご指摘を受けていた。肝心のもずやんが埋没し、知名度を上げられませんでした。もずやんの活躍の場をグンと増やして熊本のくまモンみたいに有名にするのが目標です」(府民文化部府政広報室の山田博一課長補佐)
ほかのキャラは存続させて担当のイベントなどには出演するが、大阪府の顔はあくまでももずやんというわけだ。
「賢明な選択です」と評価するのはマーケティングに詳しいビジネス作家の廣川州伸氏だ。
「92体とはビックリする数です。ブランドをつくる“ブランディング”という作業に大切なのは、キャラをいかに浸透させるかです。そのためには数を最小限に絞ることが重要。たくさんつくるのはいいが、『選択と集中』のコンセプトで、受けないものは廃止しなければなりません。そうでないと、どれもが個性を発揮できず、“共食い状態”になってしまうからです。熊本県は余計なキャラを抑えることでくまモンの売り出しに成功しました」
キャラも商品も、売れるものはそれなりの理由があるのだ。