総合スーパー、PBで構造改革 利益率改善、どん底苦境に薄日

デフレと消費不況の逆風で、不振が続いてきた総合スーパー(GMS)に、薄日が差してきた。流通大手のイオンとセブン&アイ・ホールディングス(HD)が7日までに発表した平成22年8月中間連結決算は、足を引っ張ってきたGMSの改善で、大幅な増益を達成した。企画から原料調達などを自ら手がけるため、利益率の高いプライベートブランド(PB)に軸足を置く構造改革がようやく実を結び始めた。
 「回復は、安売りで達成したものではない。利益率がすべての部門で改善傾向にある」
 イオンの千葉清一執行役財務最高責任者は、業績回復に自信を示す。
 最終利益は前年同期の146億円の赤字から、過去最高の336億円の黒字へとV字回復を果たした。GMS事業の営業損益も94億円の赤字から54億円の黒字に転換した。その原動力が、PBの強化だ。
 不振の衣料品部門では、PB「トップバリュ」の占める割合を約2割まで引き上げたことで、利益率が1%近く改善した。
 さらに、6月に発売した第3のビール「トップバリュ バーリアル」が3カ月半で年間目標の半分を売り上げたほか、夏の機能性肌着「クーリッシュファクト」も前年同期比2・4倍の600万枚となるなどヒット商品も生まれた。トップバリュ全体の売上高は前年同期比1・2%増の2150億円に増えた。
 千葉執行役は「一人あたりの買い上げ点数が約4%増えた」と胸を張る。
 セブン&アイも、発売から3年目に入ったPB「セブンプレミアム」の強化に余念がない。
 今年度は思い切ったリニューアルを進め、売上高は前年度より600億円多い3800億円を見込む。さらに高い利益率が見込める高価格帯のPB「セブンプレミアムゴールド」の販売も好調だ。
 こうした効果でGMS部門の営業利益は前年同期比28・4%増の34億円を達成した。
 課題の衣料品改革では、大手アパレルと組んだPB「ギャローリア」を立ち上げた。PB比率を3割程度まで高め、さらなる利益率の改善を目指す。
 企画や原材料の調達の段階から主導し、生産だけを委託するPBは、莫大な宣伝費をかける大手メーカーの製品よりも安いうえ、利益率も高い。両社は、さらに生産面でも深く関与するSPA(製造小売り)方式にも踏み込む。顧客を奪われたカジュアルウエア「ユニクロ」の手法だ。
 後ろ向きのコスト削減だけでなく、PBという切り札を武器に、「デフレが続き、今後も一段と厳しくなる」(村田社長)と予想する逆風に挑む構えだ。

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