仙台市は7日、東日本大震災で地滑り被害があった丘陵部宅地のうち、太白区緑ケ丘4丁目の111世帯を対象に、防災集団移転促進事業を進める方針を決めた。今回の震災で、津波被災地以外で集団移転を実施する初めてのケースとなる。
移転対象となるのは、被災した130世帯259人のうち、宅地復旧が困難な中央部の111世帯215人。被害が小さい周辺部(19世帯44人)は現地再建を進める。
市は、丘陵部宅地の復旧策を協議する宅地保全審議会(宅地審)の見解に加え、住民意向調査の結果を踏まえて集団移転が必要と判断した。
同日の宅地審技術専門委員会で、被災宅地117区画(2.8ヘクタール)を5ブロックに分けて実施した地盤調査を基に、対策工法を協議した。
中央部2ブロック97区画(2.2ヘクタール)は、地下水位が高い盛り土地盤で、液状化に近い現象が起きたことなどから、宅地に適さないと結論づけた。周辺の3ブロック20区画(0.6ヘクタール)は地下水位が低く、被害範囲も狭いため地滑り対策工事で宅地としての安定性は確保できると判断した。
市が2月に行った住民意向調査では、中央部の土地・建物所有者の7割が移転を希望した一方、周辺部では9割が現地再建を望んだ。
市は住民説明会を経て、集団移転の事業計画作成に着手。宅地復旧工事は年度内に始める。