縦笛の使用中止、修学旅行も不透明 夏休み明けの教育現場が神経戦

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が宮城県内に8月27日に発令されてから、1週間余り。学校では夏休み明けの授業再開と重なり、感染防止対策に神経をとがらせている。 

昇降口でアルコール消毒し、教室に向かう児童=3日午前8時10分ごろ、仙台市若林区の荒町小

 仙台市若林区の荒町小(児童505人)は3日、非接触型の消毒器具4台を昇降口に設置した。登校してきた児童は教員から「消毒してから入って」と促され、手をかざしてシュッと一吹きし、教室に向かった。
 新型コロナウイルス感染に不安を抱く保護者の声に応えたという。これまでも登校後は、教室に近い洗面台で手洗いするよう励行していたが、今回はさらに強化し、校舎に入る際の感染リスクを減らした。
 授業でも対策を講じる。音楽は縦笛の使用や合唱を中止し、理科も複数の児童で取り組む実験は控えている。田辺泰宏校長は「今後の感染状況を見通せない中で悩みながら決めている。対策を徹底して不安を解消し、学習環境を整える」と気を引き締める。
 7月下旬以降の感染急拡大に歯止めがかからず、県全域が今月12日まで緊急事態宣言の対象地域に適用される現状に、市内の小学校は行事日程の再検討を迫られている。

オンライン授業「つながりにくい」

 太白区のある小学校は福島県会津地方への修学旅行を6月から10月に延期した。県境をまたぐ移動の自粛がいつまで続くか不透明で、実施できるかどうか見通せないという。
 校長は「ワクチン接種が進めば感染が下火になると思ったが、ここまで拡大するとは考えなかった。何とか行かせてあげたいが、感染動向次第としか言えない」と頭を抱える。
 夏休み明け以降、市立小学校118校のうち4校(3日時点)で児童の感染が判明し、臨時休校を余儀なくされた。市教委は休校時の対策として、児童1人に1台ずつ割り当てたタブレット端末を活用し、オンライン授業の本格導入に向けた準備を急ぐ。だが、試験運用で大規模校を中心につながりにくい事例があったという。
 教育指導課の担当者は「8月中にネットワーク環境を強化したが、全校一斉に使用した時に負荷がかかり、思うように利用できない場合があった。早急に課題を洗い出し、解決する必要がある」と説明する。

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