22日に仙台市で行われた羽生結弦選手(23)の祝賀パレードでは、終了後の羽生ファンのマナーも光った。10万人超が詰めかけただけに大量のごみが散乱することも想定されたが、終わってみればボランティアも「拾うごみがない」と驚くほど。実は事前にファン同士がごみ袋を持参するよう呼びかけていて、実行委員会も「沿道の皆さんによくしていただいた」と“金メダル”マナーに大喜びだった。
【写真】パレードの最中、旧知のカメラマンを発見し笑顔で手を振る羽生結弦
パレードのスタートから約10分後。出発地点になった道路で、水色のジャンパーを着たボランティアの大学生ら約20人がごみ拾いを開始した。だが、大通りを100メートル以上歩いて集まったごみは、家庭用ごみ袋1枚にまとめても十分余裕がある程度。各自3枚ずつビニール袋を用意してきたが「拾うごみがない」と想定外の少なさに驚きの声まで漏れた。
貢献したのは羽生ファンだ。事前にファン同士が「終了後にごみを1つ拾ってほしい」「ごみ拾いして帰る」とツイッターなどを通じて呼びかけていた。
この日、ブライアン・オーサー・コーチのお面をかぶってパレード中の羽生に「オーサー!」と指をさされたという仙台市の30代女性は、家庭用ごみ袋を持参。「羽生くんも地元にごみが散らばることを望んでいないと思うので、しっかり準備してきた」とにっこり。市内の大学に通う女性(19)は「ゆづくんがあれだけ真摯(しんし)な姿を見せているんだから、困らせちゃいけない」と語った。
市スポーツ振興課によると、4年前のパレードでもファンのマナーの良さからごみは想定より少なかった。前回を上回る人出が見込まれた今回は1000人規模でパレードするルートのごみ拾いに備えていたが、杞憂(きゆう)に終わったようだ。
ボランティアの東北工大2年の田場川菜奈さん(19)は拾うごみがほとんどなかったことについて「一人一人の思いがつながった結果ですね」とうれしそう。パレード実行委員会の伊藤勝也会長は「ごみが散乱していたという報告はなく、沿道の方々にマナーをよくしていただいた」と金メダル級の評価で感謝を述べた。