老化やがんなどの病気を引き起こす「酸化ストレス」を感知するメカニズムを解明したと、東北大大学院医学系研究科の山本雅之教授(医化学)らの研究グループが17日、発表した。
酸化ストレスとは、過酸化水素などによってDNAやタンパク質を傷付ける有害な作用のこと。
細胞内でストレスを感知するセンサー分子(タンパク質)は、分子内にある複数のシステイン残基(アミノ酸の一種)を使い分け、遺伝子変異や加齢といったさまざまなストレスを感知している。
グループは、センサー分子のうち、酸化ストレスを感知する四つのシステイン残基を特定。四つの残基は三つのユニットを作り、そのうち二つが結び付いて酸化ストレスを感知し、抗酸化作用を促す「転写因子」を活性化して細胞を保護していた。
三つのユニットは、どれかに不具合があっても、残りの二つが結び付いて酸化ストレスを感知する仕組みを備えることも分かった。
この「転写因子」を活性化させる薬は、酸化ストレスを原因とする病気の治療薬として有望視されている。山本教授は「今回解明した感知の仕組みは、新たな薬や治療法の開発につながる」と話した。