職場の「スメルハラスメント」は冬場こそ深刻だ

冬場はにおいのエチケットを怠りがち……。ちょっとした気配りが大切です(写真:プラナ/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

日本人は、とかくにおいに敏感です。清潔や無臭といったワードに弱く、消臭に関する商品もたくさんあり、CMなどで目にしない日はないでしょう。

夏場は汗をかきやすいので、とりわけエチケットにも気を配る一方、冬場はさほど気にしないという方も多いのではないでしょうか。ところがにおい問題は、冬場のほうが起こりやすい現状があります。汗をかきやすい夏場はみんなが気を遣っているということもあるかもしれませんが、いわゆるにおいが問題でトラブルになる「スメルハラスメント」が職場で問題になるのも、寒い時期のほうが多いのです。

実際に相談事例が多いのは、以下のようなことです。

においが問題でトラブルになるのは、どんなとき?

1.パーソナル加湿器による「アロマ」

乾燥が気になる季節になると、のどや肌をいたわり、風邪などを予防するために加湿器を使用される方も多いと思います。最近は、パーソナルなものも増えており、USB電源式のものなど卓上での使用も多くなっています。中には、アロマの機能が付属しているものがあり、加湿するとともに自分の好きな香りを発生させることができます。


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これらを自宅などのプライベートな空間で楽しむことはまったく問題はないのですが、オフィスなどオフィシャルの場では、これが大きな問題になっています。香りの好き嫌いは非常に個人差があり、ある人によって心地よい香りでも、ある人にとっては不快で、気分が悪くなることがあるからです。

個人間はもとより、事業所内の加湿器を、社員のモチベーションを上げるための香りを発生させるという触れ込みで導入したことで、問題になったケースもあります。

2.締め切った部屋での「柔軟剤」

寒くなると、どうしても部屋の締め切りが多くなります。そんな中、狭い空間での香りの強い柔軟剤の問題は深刻です。夏場でもこの問題は、昨今増えているのですが、衣類が分厚くなる分、柔軟剤の香りをたっぷり含んでしまうことで、暖かい空間で余計に香りを強く感じやすくなります。

3.男性の「整髪料」

これで、職場の席替えを要求されることがしばしばあります。本人は、慣れていて気づかないようですが、周りの人にとっては非常に不快となります。特に、夏場と違い、洗髪の回数が減ってしまう方もいるようです。頭の皮脂腺は、顔の2倍といわれているように顔よりも念入りに洗う必要があるにもかかわらず、それを端折ってしまうためににおいがきつくなり、さらに強い整髪料の香りに混じって耐えがたいにおいになります。

また、男性女性を問わず、汗をかいていないから、寒いからといった理由で、髪や身体を洗うのをささっと済ませてしまうことで体臭が強まるといったこともあります。においのもととなりやすい耳の後ろや首の後ろなどを丁寧に洗うだけでも効果的なので、ぜひ心がけていただければと思います。

4.女性の香る「ハンドクリーム」

手の荒れる季節になるとハンドクリームを使用する頻度も上がります。市販品の中にも香水のように強く香るタイプのものが増えており、ほかの人がデスクなどで使用している香りが強くて体調不良を訴えるケースもあるほどです。

また、汗ばむ季節が終わったので、好みのフレグランスをつけ始める方も多いようで、一気にこの問題が浮上します。

そもそも嗅覚は、脳の最も原始的な部位である大脳辺縁系と強い関連性があり、感情や記憶と強く結び付く感覚です。ゆえに、心地よい香りとそうでないものの差は大きく、自分にとって不快なにおいは、耐えがたいものとなります。生活のさまざまな場所で「におい」問題は発生します。普段から心がけている方はあまり気にしすぎないことも大切だと思いますが、「そんなことで?」と思われた方は、ぜひ少し気を遣ってみてください。

とくに、季節を問わずタバコの煙は、呼気はもとより、喫煙ルームなどの狭いスペースの中にいると髪・皮膚・洋服すべてに付着しますので、喫煙者の方はより気を配っていただけるとよいのではと思います。

消臭剤多用による化学物質過敏症問題も

ただ、反対に神経質になりすぎて洗いすぎ、消臭剤など多用することで化学物質過敏症を引き起こすことがあるので注意が必要です。無臭ではいられないので、ある程度のことは許容範囲とすることも大切ですし、自分以外の人のことを考え、適度な清潔さと穏やかな香りを身にまとうことを心がけていただけるとよいのではないでしょうか。

どうしても洗濯回数が少なくなるコートなども、消臭剤に頼らずに、マフラーやスカーフなどを併用して、そもそも襟回りに汚れやにおいが付着しにくい工夫をすることも効果的です。マフラーなどの小物なら洗うこともコートに比べ手軽にできると思いますので、清潔を保ちやすくなります。

寒い季節に人間関係まで冷え込まないよう、ちょっとした気遣いで、お互いが快適にすごせることを願っています。

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